3年ぶり開催のビーチバレージャパン 石島/黒川(寛)組が優勝を飾る
第36回ビーチバレージャパンは8月14日(日)に鵠沼海岸ビーチバレーコート(神奈川県鵠沼市)で最終日を迎え、推薦1の石島雄介/黒川寛輝ディラン組が表彰台の頂点に立った。石島は2019年に開催された第33回大会に続く優勝。黒川は初優勝となった。
大会は台風8号の接近に伴い、13日のすべての試合が中止。最終日の14日に、32チームによるシングルトーナメント方式で開催された。競技形式は21点1セットマッチ。8時の第1試合に出場した石島/黒川組は、苦しみながらも気迫を前面に出したプレーで白星を重ねていく。準決勝では推薦4の長谷川徳海/倉坂正人組に競り勝ち、優勝に王手をかけた。
決勝の相手は推薦3の庄司憲右/池田隼平組。立ち上がりから石島がブロックでプレッシャーをかけ、優位な展開に持ち込む。要所で黒川のショットや石島のブロックが決まり、11-10でテクニカルタイムアウト。その後も黒川のショットを皮切りに3連続得点を奪い、14-11とリードを広げた。
決勝で惜しくも敗れた庄司/池田組
一方の庄司/池田組は強打を中心にアグレッシブに攻め込むが、ミスもあってなかなか連続得点が奪えない。それでも終盤に入って庄司が落ち着きを取り戻し、ショットを絡めて粘り強く得点を重ねていく。庄司のサービスエースが決まり3連続得点。点差を1点まで縮めると、庄司の強打で19-19の同点に追いついた。
しかし勝負どころで強さを見せたのは石島/黒川組だった。黒川がサイドラインぎりぎりに強打を決めてマッチポイント、最後は石島のブロックで21点目。歓喜の雄叫びが鵠沼海岸ビーチバレーコートに響き渡った。
喜びを爆発させる石島/黒川組
表彰台の頂点に立った石島は「優勝は久しぶりなので本当にうれしいです。開催すら危ぶまれた中、ご尽力いただいた方々に感謝したいし、2人で勝ち取った勝利だと思います」と安堵の表情。黒川は「風が強かったので、しっかり考えながら最後までプレーすることができました。ムードもよくて、準決勝も途中5点差までつけられたが、ゴッツさん(石島)が『絶対にチャンスは来るから諦めるな』と声をかけてくれた。それで気持ちを強く持つことができました」とパートナーを讃えた。
3位決定戦を制したのは、都道府県予選から勝ち上がってきた関寛之/詫間悠組だ。風を味方につけて、精度の高いバレーで勝ち切った。
3位入賞を果たした関/詫間組
20歳の詫間悠と30歳の関寛之がペアを組んだのは今年4月。普段は仕事をしているが、週末だけ集まって練習を重ねてきたという。3位に入った要因を、詫間は「台風の影響による風が、自分たちに優位に働いた。いつもパスとトスの練習をしているので、そこがここまで勝ち上がれた要因だと思います」と胸を張った。「今後もツアーに出場し、表彰台を狙っていけるように練習していきたい」と関。「おもしろいバレーをするのがテーマ」という2人の活躍に今後も注目だ。
入賞した選手たち(左から庄司・池田・石島・黒川・関・詫間)
3年ぶりに開催された今大会は、推薦の8チームと43都道府県(4県が不参加)+開催地1から計52チームが出場。初出場の選手や復帰した選手も多く見られた。
推薦6で出場した古田史郎は、昨年5月にV2のヴォレアス北海道を退団、ビーチバレーチームを設立した。今回のビーチバレージャパンは経験豊富な髙橋巧とペアを組んで初出場を果たした。決勝トーナメント2回戦で敗れたが随所に能力の高さを見せ、「台風のなか尽力してくださったスタッフ、関係者の方々に対して尊敬の念が絶えません。今回は(髙橋)巧君と組んで初めての試合だったので、一緒に試合ができたことが何よりも大きい。課題が明確になったので、そこを徹底して取り組んでいきたいと思います」と自信を深めた。
ビーチバレージャパン初出場となった古田史郎
その古田を2回戦で破ったのが、同じく初出場の辰巳遼だ。古田と同じビーチバレーチームに所属し、今回は佐藤亮太とペアを組んで北海道代表として出場。「初出場でしたが、変なプレッシャーもなく、一生懸命やる中で楽しさを感じながらプレーすることができました。ビーチバレージャパンは『ビーチバレーの祭典』と言われるだけあって、観客も多いし、音楽がかかっていたり、選手もみんな気合いが入っている。素晴らしい大会だと感じました」と振り返った。
辰巳遼(写真左)も初出場
昨年の東京2020オリンピックの前に肩の手術をし、リハビリを経てコートに戻ってきたのが日本代表としてプレーした経験を持つ畑辺純希。第一線からは退いたが、「出られる大会はどんどんトライしたい」と畑辺。今回も若い水島武に請われる形で出場を決断し、「今は楽しさしかないです。自分が思った通りにやれているし、日本代表の経験を若い選手に伝えられる。若い選手はみんな上手で、楽しみな選手が多いですよ」と笑顔を見せた。
日本代表経験を持つ畑辺純希
3年ぶりに開催されたビーチバレージャパンは、多くの人の記憶に残る大会になった。台風8号の影響で開催が危ぶまれる中、スタッフ総出で朝の4時からコートの設営が行われた。そうした尽力に敬意を表するべく、最高のパフォーマンスを発揮した選手たち。表彰式の最後には、シャンパンファイトの泡と一緒にすべての人の笑顔が弾けた。