沖縄が2連覇、岐阜が初優勝に輝く。「いちご一会とちぎ国体」ビーチバレーボール競技結果。
「第77回国民体育大会(以下・国体)いちご一会とちぎ国体」ビーチバレーボール競技が9月10日(土)~13日(火)の4日間、栃木県足利市・足利市特設ビーチバレーボール会場で行われた。2019年いばらき国体以降、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2年連続で中止。今年は3年ぶりの開催となり、全国47都道府県男女高校生チームが足利市に集結した。
2017年に正式競技化されたビーチバレーボール競技において、海のない内陸地で開催されたのは今大会が初めて。開催地となった足利市は、国体開催1年半前から渡良瀬川のほとりにある元競馬場の跡地に競技用の砂を敷き、特設会場を完成させた。
この地で練習に励んできた地元の栃木男女チームの試合は、初日から大声援につつまれた。「声援がチカラになって絶対に勝てると思った」と宇都宮文星女子高の石崎咲暮/山口桂奈組。3回戦で岐阜に敗れたものの、2回戦では強豪の徳島に勝利し、会場を沸かせた。
日中は気温が上がり、残暑の厳しさが残った4日間。男子において最終日の頂上決戦まで勝ち上がってきたのは、沖縄と岡山だった。
▲ブロックに飛ぶ沖縄の源河、スパイクを打つ岡山の松本
沖縄はいばらき国体の覇者であり、インドアでも今年の国体出場が決まっている名門・西原高の源河朝陽と安仁屋光陽のペア。源河の覆い被さるようなブロックと安仁屋の粘り強いレシーブが武器で、強豪チームを次々に倒してきた。
岡山はこちらもインドアで実績のある玉野光南高の松本翔吾と東金鉄弥のペアが出場。ペアを結成して2年目というだけあり、精度の高いつなぎと力強い攻撃をモットーに決勝戦まで失セット0で勝ち上がってきた。そんな両チームの決勝戦は、高いブロックに対してハイセットからの攻撃を打ち合う見応えのある空中戦となった。
▲スパイクを打つ沖縄の安仁屋
序盤から先に抜け出したのは、沖縄だった。「試合をこなしていくうちに息が合ってきた」と源河が振り返ったようにブロックとレシーブのコンビネーションがはまり始める。次々にブレイクして得点を重ねていくと沖縄は第1セットを15点に抑えて先取した。第2セット序盤もその勢いは止まらない。沖縄ほどの高さはなくともネット際で強さを見せつける岡山も中盤以降、必死に食らいついたが、なかなかその点差は埋まらなかった。第2セットも21-17と沖縄が制し、沖縄は国体2連覇を達成した。
今後もビーチバレーボールをやってみたいという安仁屋は「ジュニア選手権のときビーチバレーボールをまだわかっていない状態だったが、国体ではその経験を活かすことができた。動画を見ながら自分たちでブロックの後ろの位置取りなど作戦を考えて試合で発揮することができた」と笑顔を見せた。
▲優勝の沖縄県、左から順に安仁屋、源河
▲準優勝の岡山県、左から東金、松本
女子は、インドアのインターハイに出場後、8月上旬から本格的に練習を開始しマドンナカップ準優勝に輝いた岐阜商高の篠田真央/光武愛香組がその実力を発揮。激戦ブロックを勝ち上がり、堂々の決勝進出を決めた。
もう一方のトーナメントを勝ち抜いてきたのは、兵庫。マドンナカップでも2チーム(1チームは補填のため)を送り出した龍野北高が国体ではペアリングを替え、神原花名子/福井彩夏組を送り出した。層の厚さをうかがわせ、攻守のテクニックが光る完成度の高いプレーで決勝まで駒を進めてきた。
▲レシーブをする兵庫の福井
決勝戦は、狙いを定めたサーブで相手を崩した岐阜が序盤から主導権を握った。「2人で共通の意識を持って攻めることができた。相手に対応されてもそこから2人で話し合って戦術を変えることができた」と光武。第1セットを21-17と先取すると、第2セットも相手コートの空いているところにすばやくショットを落としていく。そのリズムを維持し続けた岐阜が第2セットを21-13と制し、ストレートで勝負をつけた。
▲トスを上げる岐阜の篠田
マドンナカップよりも精度の高いプレーを発揮した篠田真央は、「マドンナカップが終わってから、基本に立ち戻って意識して練習を積んできた。試合では2人のコミュ二ケーションを大切にしようと挑み、試合を楽しめたのでよかった」と成長の要因を語った。
▲優勝の岐阜県、左から順に篠田、光武
▲準優勝の兵庫県、左から順に神原、福井
3年ぶりの国体という大舞台。決勝戦後は、表彰式で互いを称えあい選手たちの笑顔があふれた。熱い戦いが繰り広げられた「いちご一会とちぎ国体」ビーチバレーボール競技は閉幕。来年の「燃ゆる感動 かごしま国体」は、大崎町の大崎町ビーチスポーツ専用競技場で開催される。