ビーチバレーボール

PLAYERS INTERVIEW ⑮ 松本恋

PLAYERS INTERVIEW ⑮

松本恋

2021年、怒濤の快進撃を見せたチームといえば、松本姉妹の「恋(れん)・穏(のん)」ペア。学年は2つ違い、高校卒業後ビーチバレーボールを始めた松本姉妹は、堂々のマイナビジャパンツアーデビューを果たした。チームの得点源となっているのは姉の松本恋(Mt.dogs)。日々の練習やチームのこと、来季に向けての抱負を聞いた。

──念願のマイナビジャパンツアーに出場を果たした2021シーズンを振り返って

「ビーチバレーボールを始めてから3年半、ずっとツアーに出場することを目標にやってきましたが、サテライト大会や公認大会の大会で格上のツアー選手と対戦して勝ったこともあったので、手応えは持っていました。もちろん課題はたくさんあるのですが、自分たちがやっていることは間違いではないと。だから、ツアーに出場するだけで満足するのではなく、優勝することを念頭に置いていました。名古屋大会では開催地のワイルドカード、都城大会ではアクティオワイルドカードをいただいたおかげで、沖縄大会にも出場できて優勝することができました。来シーズンに向けていいスタートをきれたかなと思います」

マイナビジャパンツアー沖縄大会で初優勝を果たした

──結果を残せた要因はどの辺りにあると考えていますか?

「ボールを触っている回数は、どのチームよりも多いと思います。私たちは平日、午前中はアルバイトをして昼ごろから3時間ほど自宅の近くの専用コートで練習をし、土日は海で練習しています。丸1日オフの日はありません。チーム練習は1日3時間と決められていて、それ以外の21時間は自由。そこで息抜きをしていますから、私自身は1日オフがほしいと思わないですね。チームの方針としても決められた時間でボールに触るという習慣を大事にしています」

──マイナビジャパンツアーとサテライトおよび公認大会の違いはどんなところでしょうか?

「いちばん違うのは、選手の待遇ですね。ツアーは試合前の選手紹介から始まって、ドリンクも準備されている。それにはビックリしました(笑) 公認大会などでは負けると選手が審判をすることもありますが、ツアーでそれはありません。一緒に練習している愛知の選手たちから『ツアー選手はやっぱり違う』と言われるのですが、出場して初めてその意味がわかりました(笑) 他にも、下部の大会と違って、ツアーのライブ配信は解説がついていたり、無観客でも会場にはスポンサーさんを含めた関係者もいて雰囲気が違ったり。私たちはまだ有観客で試合をしたことがないので、今年はぜひその雰囲気を味わってみたいです」

──恋選手のいちばんの強みは何でしょう?

「得意とするプレーはスパイクですけど、打てる状況を作り出して最終的に引き出してくれるのは穏なので、自分の強みというよりは穏ありきの自分だと思っています。自分自身では『ここが強み』とは言えないのですが、『姉妹ありき』の自分たちなのかなと思います」

力強いスパイクを放つ松本恋

──他の選手とペアを組みたいと思わないのでしょうか?

「思わないです。妹のことをメチャ好きというわけじゃないんですけど(笑) 結果を出していくためにパートナーは妹がいいです。やっぱり姉妹なのでお互いに言いやすい部分があって、厳しいことも言われますけど、私も言い返します。常にケンカはしますが、常に仲直りもする。お互い他の選手と試合に出ることもありますが、結局は姉妹でペアを組むのがいいよね、となります」

──恋選手から見て妹の穏選手はどんな選手ですか?

「周りから見ると何でもできるイメージがあると思うのですが、そのための努力を惜しまないです。同じ時間練習をしていてもボールを触っている回数が多いですし、常に考えながら触っていますね。コーチである父にも積極的に質問や提案をしていますし、妹のいい部分である観察力もそういう努力から培われているのだと思います」

──その一方、恋選手といえば、力強いスパイクとたくましいフィジカルが武器。トレーニングはどのように意識して取り組んでいますか?

「以前は犬山成田山の階段を毎朝3往復していましたが、最近は専用コートの近くにある団地内の坂道を利用してラントレしています。もともと筋肉質ですぐに筋肉がつくタイプなのですが、ビーチではいかに速く動くかが大切だと思うので、つきすぎて動きにくくならないようにバランスを心がけています。私はウエイトトレーニングよりも走るほうが好きですね」

──コーチであるお父さまからは、具体的にどんなことを教えていただいているのでしょうか

「父は、体育系の専門学校に通っていたので、スポーツのことは一通り勉強しています。バレーボールの専門的な知識はないですが、いろいろなスポーツでの身体の使い方や理論をビーチバレーボールで生かせるようにアドバイスしてくれます。バレーボールだけにこだわっていないので、発想がおもしろいですね。例えばサッカーの動きから、『これ、使えるんじゃない?』と提案してくれて、実際に自分たちが使えると思ったら取り入れます。しっくりこなかったらボツになる感じです(笑) コーチですが親子なので言いやすいし、コミュニケーションを取りやすいですね」

──2021シーズンの試合で、一番印象に残っている試合や大会はありますか?

「シーズン後半戦にあたるサテライト東京大会あたりから、フルセットゲームがとても多かったんです。それまで負けるときはあっさり負けていたので、フルセットを勝ちきるイメージも持っていませんでした。でも11月の川崎市杯で私の調子がいちばんよくなかったにもかかわらず、最終日の準決勝、決勝をフルセットの連戦で勝ち切れたときに、強くなったのかなと思いました。点数が接戦でも内容が悪くても、最終的に勝てばいいね、と穏と話しました」

──2022シーズンに向けて、現在の目標と取り組んでいる課題は?

「直近では、今年中国の杭州で開催されるアジア競技大会の出場チーム代表決定戦が春ごろに予定されていますので、その大会で優勝することを目標に置いて練習しています。今のチームの課題は、ブレイクからの得点率を上げること。妹のサーブがいいので、私もフローターサーブの変化をもっとつけてサーブ効果率を上げていきたいと思っています。まずは代表決定戦で優勝して、アジア競技大会への出場権獲得に向けて頑張ります」