ビーチバレーボール

PLAYERS INTERVIEW ⑰ 佐藤亮太

PLAYERS INTERVIEW ⑰

佐藤亮太

2019年マイナビジャパンツアーファイナルや東京2020代表チーム決定戦で大舞台を踏み、パワーアップを遂げた佐藤亮太(テクノスジャパン/雄大グループ)。コート上での気合いあふれるパフォーマンスが印象的だ。29歳を迎える今年は、その「記憶」とともに「記録」を残すことができるか。勝負のシーズンを前に抱負を聞いた

──昨シーズンは佐藤選手にとって、どんなシーズンだったでしょうか?

「昨年は『東京2020代表チーム決定戦』の出場が急遽決まり、そこで一つ勝利して準決勝まで上がることができました。トライ&エラーを繰り返しながらも、自分たちがやりたいことを思い切ってやった結果だったと思います。

それ以降、トップチームに対して自分の持ち味である勢いや強打、負けん気の強さで勝負していけば勝てるという気持ちで戦ってきましたが、思うように結果を出すことができませんでした。けれどシーズン中盤には『マイナビジャパンツアー第5戦都城大会』の予選プール戦で格上の髙橋巧(ANAあきんど)/マルキナシム(トヨタ自動車)組に全力で挑んだ結果、勝利して自分の持ち味を再確認できました。そして、シーズン終盤には西村晃一選手とペアを組んで大会に出場したことで、プレーに対しての考え方が一変しました。そういう意味でとても変化のあるシーズンでした」

昨年は東京2020代表チーム決定戦に出場

──その中で得られたものはありましたか?

「髙橋/マルキ組に勝利した試合は、ショットはほぼなし、強打だけで勝負しにいきました。けれども、その他の試合では波があって取りこぼしがあった。その波をどのようにならしていくのかが課題でした。西村選手とペアを組ませていただいてからは、強打だけではなくどのように得点を決めていくかだったり、試合全体を通してのゲームメイクだったり、いかに自分の能力を安定的に出し続けるか、ということに課題がシフトチェンジしていきました。自分にとってはそれがいちばんの収穫だったと思います」

──西村選手と組んで出場された11月の「川崎市杯」では大接戦の末、勝利をモノにしていましたね

「自分としては、いいようにとらえています。ギリギリでも最終的に勝つことができたのは戦略がはまったと言えるし、相手をいい気にさせなかった。逆に、西村選手と戦ってきたこれまでの自分は、ギリギリのところで勝てない試合がありました。戦略をどう見立てたらいいのかまったくわかりませんでしたし、パートナーも自分自身もコントロールできずに修復できず、負けてしまうことが多々ありました」

──当時わからなかったことを、今ベテランから学んでいるのですね

「そうですね。2019年の『マイナビジャパンツアー松山大会』決勝でフルセットにもつれて、最終セットはリードしていて『いける』と思ったのですが、最終的には負けてしまった。今になって動画を見返すと、勝てなかった理由がわかりました。技術面での安定性、一本の重み、チームとして力を出し続ける大事さなどが自分に足りませんでした。今は西村さんと一緒に練習をさせてもらい、そういう部分を学ばせてもらっています。また以前は西村さんのようなベテランと戦い競ったときに、惜しかったとか、あと少しで勝てたと思っていましたが、身近で見ていると実は勝つべくして勝っていたのだと痛感しています」

──佐藤選手からみた「ベテラン」の西村選手とはどんな選手ですか?

「日々そばにいて接しているのですが、西村さんは確固たる考え方が自分自身の中にあって、さらに経験からいろいろな選択肢を持っています。そこを軸にしてトライしながら、もし間違っていると思ったら修復することができる。結果を出し続けられるのはそれがあるからなのかな、と思います」

──オフシーズンのトレーニング合宿もご一緒されたとか

「とても充実した時間でした。合宿に参加したトレーナーさんとメンバー全員で追い込み合うというのは、自分にとって初めての経験でした。外からの刺激によってトレーニングがよりハードになり、苦しみを共有しながら乗り越えていく。西村さんも同じメニュー、またはそれ以上負荷のかかるトレーニングをこなしていました。僕は西村選手に負けたくないという気持ちがあって必死でついていきました」

経験豊富な西村選手から学び吸収している

──今年29歳、ツアー選手としては中堅どころとなります。ブロッカーとしてさらに成長していくため、軸に置きたいのはどんな部分でしょうか?

「今までは、自分がどうやってブロックで止めるかということを重視していましたが、ブロックアウトをとられたり、ショットを叩きにいって早く打たれてしまったり、ブロッカーとしてミスを出していた部分がありました。今後はチームディフェンスが機能するように総合的なブロック力を身につけていきたいと思っています。レシーバーがレシーブしやすいブロックを展開して、ディフェンスのアベレージを上げていく必要があります。またチームとして求められたものに対して、きちんと応えられるような技術や体力、頭脳を磨いていきたいと思います」

──チームが苦しいときも、パートナーを支えてゲームメイクできるようなプレーが見られそうですね

「今まではどちらかというとコントロールされる側でした。これからはパートナーの意思を汲み取って、一緒にゲームメイクに参加できるかもポイントになってくると思います。若手と言われたとき、経験豊富な清水啓輔選手とペアを組んだことがありますが、当時の清水さんは今の自分と同じ年齢だったのを覚えています。今年はべテランに近づいていくための重要な1年にしたいと思っているので、そのための準備をしていきます」

──ご自身の性格で、ビーチバレーボールプレーヤーとして生かせるところはありますか?

「自分は器用なタイプではないのですが、一つ強みとしてあげるなら、ビーチバレーボールが好きという気持ちですね。ビーチバレーボールが好きという欲があるから、たくさん試合をしてたくさん勝ちたいという気持ちにつながっていると思います。ビーチバレーボールのもっと深いところをマスターして、いろいろ吸収していきたいです」

──新しいシーズンの目標をお願いします

「ジャパンツアー優勝が目標です。ただ、1回2回勝つだけではなく優勝し続けられるようにしたいです。並大抵なことではありませんが、僕自身の環境も変わってきているので、結果を出し続けることが自分に求められてくると思っています。そこにいきつくために個人として成長し、さらにビーチバレーボールだけではない部分のレベルアップが僕の求めるビーチバレーボールにつながってくるので、人間としての成長をさらに遂げていきたいですね」