ビーチバレーボール

過去最高の観客動員数を記録。 高橋/石島組、石井/村上組が優勝。 「ジャパンツアーファイナルグランフロント大阪大会」最終日。

過去最高の観客動員数を記録。

高橋/石島組、石井/村上組が優勝。

「ジャパンツアーファイナルグランフロント大阪大会」最終日。

4月から開幕したビーチバレーボール国内最高峰の 「ジャパンビーチバレーボールツアー2018」。レギュラーツアー第9戦を終え、ツアー獲得ポイント上位8チームが集結する「ジャパンビーチバレーボールツアー2018 ファイナルグランフロント大阪大会」最終日が9月23日(日)、大阪府大阪市北区・グランフロント大阪内のうめきた広場で開催された。

大阪駅とグランフロント大阪を結ぶ「うめきた広場」で行われるビーチバレーボール大会は、今年で5回目(2014年~)。コートから至近距離で無料で観戦できるとあって、年々浸透するごとに観客動員数も増加。昨年からは俳優の大谷亮平さんをビーチバレーボールアンバサダーに迎え、エキシビションマッチを開催。前夜祭で本番に向けてコートに温めるなどグレードアップを遂げてきた。
今年も初日は10,000人(桜ノ宮含む)、2日目は17,800人と昨年よりも3,000人上回る過去最高の観客動員数27,800人を記録し、うめきた広場は賑わいを見せた。


過去最高の観客動員数を記録したファイナルグランフロント大阪大会

女子決勝は、石井美樹(湘南ベルマーレ)/村上めぐみ(オーイング)組と溝江明香(トヨタ自動車)/橋本涼加(トヨタ自動車)組の対戦となった。

前回の都城大会準決勝で敗れた永田唯(スポーツクラブNAS)/熊田美愛(リソースフォレスト)組を準決勝に勝利し、破竹の勢いで駒を進めてきた溝江/橋本組。しかし、決勝戦は今シーズン国内負けなしの女王・石井/村上組が立ちはだかる。
「今年ワールドツアーと国内ツアーはボールのメーカーが違う。そんな中でどこまで効果のあるサーブを打つことがテーマだったが、決勝は機能した」と村上。空中からすばやく打ち下ろされるスピードサーブが橋本を襲い、溝江/橋本組の高さを封じ込める。石井/村上組が第1セット、第2セットともに力の差を見せつけ、ファイナル3連覇を成し遂げた。


女子決勝戦

国内シーズンを振り返ってみると9戦中3戦出場しすべて優勝。ファイナル大会においても3連覇を達成した石井/村上組だが、今シーズン終盤では村上が国民体育大会に出場するため、それぞれペアを組み変えて活動していた。

2人での公式戦は、アジア競技大会以来3週間ぶり。「シン(村上)さんとやるにしてもサヤカ(溝江)とやるにしても、リズムを気にする。合わせるのではなく、2人でリズムを作るところを意識している。今回も戻り始めは、しっくりいっていなかったので乗り切れなかった」と石井。プール戦では西堀健実(トヨタ自動車)/草野歩(パソナ)組にフルセットに持ち込まれたが、準決勝、決勝では女王の底力を見せつけた。
村上は、「いろいろ経験して変化している中でも結果的に優勝できたことは本当にうれしい。でもとても疲れた(笑)」と素直に喜びを語った。


村上のディグ

男子決勝は、高橋巧(ANAセールス)/石島雄介(トヨタ自動車)組と上場雄也(松戸レガロ)/永井雄太(松戸レガロ)組の対戦となった。上場/永井組は、準決勝で畑辺純希(ウィンコーポレーション)/西村晃一(東京ヴェルディWINDS)組を振り切り、決勝まで勝ち上がってきた。

第1セットはジャパンツアーで3勝している高橋/石島組が王者の貫禄を見せつけ、21-17と先取する。
しかし、第2セットは「自分の力をすべて出し切った。いや、それ以上のものが出たかもしれない」という永井が石島の強烈なスパイクをシャットアウトし、流れを作り始める。
攻撃に迷いが出始めた高橋/石島組に対し、と永井の巧みなフェイクレシーブからの攻撃が機能。ブレイクポイントを積み重ねて、第2セットを23-21とデュースで奪い返した。


ツアー王者に輝いた高橋/石島組

うめきた広場の大階段が観客で埋まり、会場のボルテージも高まっていく中、第3セットへ突入。「サイドアウトがなかなか切れない分、サーブで取り返そうと思った」と高橋。上場/永井組の勢いを食い止めようと、ここから高橋のジャンプサーブに加速がつく。中盤9-5と上場/永井組を引き離した高橋/石島組が15-10と国内ツアー最終戦にピリオドを打った。高橋は個人4連覇を達成した。

今シーズンを振り返ってみれば、ツアー3勝を挙げ、トップランカーとして突っ走ってきた高橋/石島組。しかし、4月の「JVAカップ兼アジア競技大会代表決定戦」や7月の「FIVBワールドツアー東京大会」、8月の「ビーチバレージャパン」など大きな大会で結果を残せていなかった。

転向2年目、初のファイナルでビックタイトルをつかんだ石島は「自分たちはある程度成績は残してきたけれど、国内のチームはどんぐりの背比べというか、実力差はあまりない。課題もたくさんある中で最後の1点、1勝を取りきるのが難しく、だからこそ最後に勝ち切れたのは評価してもいいと思う」と、優勝の価値を噛み締めた。


高さとパワーあふれるプレーを見せた上場

準優勝に終わったものの、王者をフルセットまで追い詰めた上場/永井組。とくに永井は2016年に続き2回目のベスト4入りを果たし、初のファイナル決勝進出。今シーズンは大洗大会でもツアー初優勝を飾り、アマチュアプレーヤーながらも今シーズン躍動した。

教員になってからビーチバレーボールを始めたという永井。「ずっとインドアをやっていたけれど、ビーチをやってみたら自分の可能性が広がるのではないか、と感じた。それではまってしまった」と2014年から国内大会を転戦。当時から身長182cmながらもブロッカーを務め、堅実な仕事ぶりが評価され、かつてはトップ選手からもオファーがきたことがあったと言う。

今大会はそのブロック力を大観衆の前で見せつけた。「高さがあるアタッカーに対しては届かないところもある。それでも決勝戦は作戦としてブロックを前に出してカタチをしっかり作る。相手が打ち損じたボールを止めに行く、とやることを絞った」と永井。攻撃力の高い上場が後ろを守ることで、ブレイクの確率もよかった。


ファイナル大会準優勝の上場/永井組

永井は「周りは皆、オリンピックを目指しているトッププロばかり。そんな自分は仕事をしながら松戸レガロに所属して上場さんにペアを組んでもらっている。チームの一員としてできる限り、挑戦していきたい」と今後の抱負を語った。

今回のファイナル大会をもって「ジャパンビーチバレーボールツアー2018」の日程はすべて終了。9月25日(火)から開幕する「アジア選手権」(タイ・サトゥーン)に男女各3チームが出場する。