フルセットにもつれる接戦が続出!マイナビジャパンツアー第10戦須磨大会2日目
1日目に続き晴天に恵まれ、最高気温も23度まで上昇したマイナビジャパンツアー第10戦須磨大会の2日目。今大会はジャパンビーチゲームズ®須磨2023内の公式試合として開催されているが、本日からビーチサッカーやビーチテニス、フレスコボール、ビーチモルック、スラックライン、ビーチチア&ダンスコンテストなど他競技の大会もスタート。また数多くの飲食系ショップの出店もあり、会場となった須磨海岸は多くの人で賑わったが、そんな中、プール戦の残り男女各4試合と本戦トーナメント1回戦(男女各4試合)が行われた。
ジャパンビーチゲームズ®須磨の他競技もスタートし、多くの人で賑わった須磨海岸
男子の本戦トーナメント1回戦で注目となったのは、第9戦松山大会決勝戦でも戦った石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/髙橋巧(ANAあきんど株式会社)組×Ben O’Dea/ThomasHartles(ともにニュージーランド)組と、黒川兄弟対決となった黒川魁/福嶋晃介(ともにNTTコムウェア株式会社)組×上場雄也(松戸レガロ)/黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)組の2カード。
このうち石島/髙橋組×O’Dea/Hartles組の対戦は、要所で石島のモンスターブロックが決まったこともあり石島/髙橋組が21‐16で第1セットを先取する。しかし続く第2セットは、O’Deaの高い打点からハードヒット、Hartlesの機動力を生かしたディグで中盤14‐8と抜け出したO’Dea/Hartles組が21‐15と奪い返す。
第9戦松山大会決勝の再戦となった石島/髙橋組×O’Dea/Hartles組の試合はフルセットにもつれる接戦に(アタックしているのが石島。ブロックしているのがO’Dea)
そして迎えた第3セット、石島の意表を突くツーで石島/髙橋組が5‐3とリードするが、O’Dea/Hartles組もO’Deaのモンスターブロックで7‐7と追いつき互いに譲らない。その後、10‐10、12‐12と均衡した展開が続いたが、最終盤の勝負所で驚異の集中力を発揮し抜け出したのは石島/髙橋組。石島のツー、そしてブロックで14‐12とマッチポイントを迎える。タイムアウトを取ったO’Dea/Hartles組は、続くポイントをO’Deaのブロックアウトで取り13‐14と迫るが、最後はHartlesのアタックがネットにかかりゲームセット。第9戦松山大会ではストレートで敗れていた石島/髙橋組がリベンジし、明日行われる準決勝に駒を進めた。
驚異の集中力を発揮しファイナルセットを制してリベンジした石島/髙橋組(右が石島)
男子注目の2カード目、黒川魁/福嶋×上場/黒川(寛)の試合は、8‐8までは一進一退の展開となるが、ここで流れをつかんだのは上場/黒川(寛)。ブロックでプレッシャーをかけて相手のスパイクミスを引き出したこと、また2人ともにサウスポーからキレのあるハードヒットを決めたことで14‐8と6連続得点を決めると、第1セットを21‐14で先取する。続く第2セット、今度は黒川魁/福嶋組が主導権を握り、黒川魁のナイスディグからのアタック、福嶋のオープンスペースを狙ったワンなどで着実に加点し10‐6と差を広げていく。対する上場/黒川(寛)組は上場の2連続サービスエースなどで追い上げるも、黒川魁/福嶋組はリードを生かしこのセットを21‐19で奪い返し、勝負は最終セットへ。
兄と弟が対戦した黒川魁/福嶋組×上場/黒川(寛)組。弟の黒川(寛)は「兄と対戦するというよりも、とにかく相手はいいチームなので、目の前の試合に集中です」と試合に臨んだ(手前が黒川魁/福嶋組)
運命の第3セット、「上場さんが前でブロックを頑張って相手にプレッシャーをかけてくれるので、甘い球が返ってくることが多い」と黒川(寛)が言うようにブレークして5‐1と差をつけたのは上場/黒川(寛)組。15点先取の最終セットでこのリードは大きかったが、対する黒川魁/福嶋組は、福嶋のサービスエース、ダイレクトなどで10‐11と肉薄すると、その後13‐13と追いついてみせる。勝利の女神がどちらに微笑むかまったくわからなくなるも、勝ったのは上場/黒川(寛)組。黒川(寛)のブロックアウトで14‐13とマッチポイントを握ると、最後は上場がアタックを打ち込み終止符を打った。
「サウスポー同士で組むことに違和感はありません。相手のほうがイヤだと思います」という上場/黒川(寛)組が大接戦をものにした(左が上場)
女子で注目したのは、自らを「ブロッサムズ」(Blossoms/桜ペア)と言う藤井桜子(株式会社立飛ホールディングス)/伊藤桜(産業能率大学)組。10月にインドで行われたゴア大会で初めてペアを組み、マイナビジャパンツアーに登場するのは今回が初めてだが、伊藤が「さく(藤井)さんはプレーの目的をはっきり伝えてくれます。ワンプレーワンプレーに目標があるので、それをしっかり二人で共有しています。今までこれだけ正確にプレーすることがなかったので、勉強になることがたくさんあります」と言えば、藤井も「(伊藤は)パワフルで気持ちもすごく前向き。私が苦しいときに積極的に助けてくれるので心強い」とコメントするなど、お互いに気持ちよくプレーできている模様。
そうした相性のよさを見せたのが本日の決勝トーナメント1回戦で、坪内紫苑(ANAエアポートサービス株式会社)/藪見真歩(キヌ・コーポレーション株式会社)組を相手に第1セットを21‐16で先取。第2セットは17‐17と終盤まで接戦となったが、藤井のサービスやブロックでのポイント、伊藤のディグからのパワフルなアタックで振り切り、21‐18で勝利した。
準決勝進出を決めて桜のように美しい笑顔を見せる藤井/伊藤組(左が藤井)
その他、女子で躍動したのは今回が初ペアとなる野口彩陽(産業能率大)/坂口由里香(トーヨーメタル株式会社)組。プール戦は1勝1敗で、2位での決勝トーナメント進出となったが、その決勝トーナメント1回戦では、プール戦で2勝し1位通過してきたPhoebe Bell/Caitlin Bettenay(ともにオーストラリア)組にストレートで勝利。相手は2人とも180cm以上と高さがあったが、「相手が大きいからと守りに入らず、リードされても攻めることができたのがよかったと思います。野口さんがカチこんでくれたのもよかった」と振り返ったのは坂口。その坂口が「昨日、ビデオを見て研究しました」とオーストラリアペアの強打をディグでつないだことも勝因となった。一方、ペアの野口は「(坂口から)自分の知らないビーチをたくさん教えてもらっています。ラリー戦になったり追い込まれたりしても、自分では考えつかないことをアドバイスくれたり、自信を持たせてくれるような声かけをしてもらって、それで乗ることができました」と、坂口と組むことがプラスになっているという。
手堅いディフェンスと攻撃力が魅力の野口/坂口組(レシーブしているのが野口)
明日は9時から男子準決勝2試合→女子準決勝2試合→男子3位決定戦→女子3位決定戦→男子決勝戦→女子決勝戦の順に試合が行われる。