女子世界ランキングで日本人ペア1位の石井/溝江組が初登場!マイナビジャパンツアー第5戦青森大会1日目
青森駅から徒歩約3分の場所にある「あおもり駅前ビーチ」。2021年の海の日に合わせてオープンした人口干潟で、ビーチの横には赤い建物が印象的な「ねぶたの家ワ・ラッセ」だけでなく、お土産を買ったり飲食ができる「A-FACTORY」が位置するなど普段から人通りの多いところだが、そこに試合コート1面、練習コート1面の計2面のビーチバレーボールコートが設置され、マイナビジャパンツアー第5戦青森大会が行われた。
青森駅から徒歩約3分の場所に位置する「あおもり駅前ビーチ」で行われた
この「あおもり駅前ビーチ」でマイナビジャパンツアーが開催されるのは今回が初めてだが、そんな記念すべき大会に合わせたかのように、ツアーに登場したのが石井美樹(湘南ベルマーレ)/溝江明香(トヨタ自動車株式会社)組。前回は2018年第8戦松山大会に出場し優勝を飾っているが、そのときは臨時のペア。2人が本格的にペアを組んだのは東京2020オリンピック後で、お互い「明香どんな感じ?」「美樹さんどんな感じですか?」ということで話し合い、溝江が「自分を変えたい」という意思を示したことから「じゃあ一緒にやってみる?」(石井)という感じでパリ2024オリンピックを目指しスタートしたという。
東京2020オリンピック後、パリ2024オリンピックに向けペアを結成した石井/溝江組(写真右が石井)
ペア結成後すぐの2011年11月のアジア選手権で準優勝し、2022年6月のFIVB世界選手権では、女子日本代表として19年ぶり(2003年の楠原千秋/徳野涼子組以来)にプール戦を突破しトーナメントに進出(最終成績17位)。今年6月11日付の世界ランキングでは11位となり、8月に行われたAVCビーチバレーボールツアー ポンフーオープンで優勝するなどポテンシャルの高さを示している石井/溝江組だが、「まだまだしっくりきていない」と石井。
東京2020オリンピックに「あうんの呼吸」が分かっている村上めぐみ(株式会社立飛ホールディングス)とのペアで出場した石井にとっては、溝江とのペアは「身長のある海外の選手と対戦したときに上から打たれるのはしょうがないとして、どういうタイミングでブロックに跳ぶのか、どういうタイミングでフェイクするのか、どういう感じでブロックにいって私の方に打たせるかということがまだ分かっていない」と、まだまだ未完成。それまでブロッカーではなかった溝江にとっては高いレベルのプレーを要求されているだけに難しいところだが、それでも「明香が持っているものはある。やっぱり世界で勝っていこうと思ったら、この2人だと私は思う。お互いが『こうなったらこうだよね』というパターンがもうちょっと増えくると世界でも通用すると思う」(石井)と可能性を感じているようだ。
「まだしっくりこない」という石井/溝江組だが、お互い世界で戦うためのポテンシャルは感じている(写真左が石井)
その2人が初戦で対戦したのが村上めぐみ/藤井桜子(ともに株式会社立飛ホールディングス)組。前述のように石井は村上とのペアで東京2020オリンピックに出場し、溝江は2021年のマイナビジャパンツアーでは藤井とペアを組んでいた。今回は、お互いが敵同士として対戦することになり「緊張しました」(石井/溝江組)と言う。それでもいざ試合が始まると、「国内では、もう全部拾える、全部止められ、全部決められるという感じじゃないと世界では戦っていけない」という高い意識で臨んだ石井/溝江組が主導権を握る。相手を惑わすブロックからの好レシーブでボールを上げると、オープンスペースに的確にショットを決め着実に加点。第1セットを21-12で先取する。
石井/溝江組が対戦したのは、かつてペアを組んでいた村上/藤井組(左が村上)
第2セットになっても、ポーキーで手前に落としたり奥にコントロールしたりという石井の技ありショット、そして溝江のパワフルスパイクと硬軟織り交ぜた攻撃で得点した石井/溝江組。守っては機動力を生かしたレシーブでリズムに乗り、このセットも21-17で奪い勝利。「まずは自分たちにしっかりフォーカスしてやっていこうっていうのを意識しました」(溝江)、「相手関係なく自分たちが2年間やってきたことをちゃんと出せばしっかり戦えると思っていて、その結果勝てたのでよかった」(石井)と世界ランキング11位の力を見せての勝利だったが、来年行われるパリ2024オリンピックの出場権獲得に向けては、「課題がたくさんあって時間が足りない」と石井。それでも「時間が限られているからこそ焦るのではなく、早く成長できるように1日1日を充実したものにしていけば、もっと上に行けると思います」という手応えも感じている様子。まずは明日行われる準々決勝、決勝戦で石井/溝江組がどんなプレーを見せてくれるのかに注目だ。
試合は攻守ともに堅固なプレーを見せた石井/溝江組がストレートで勝利(スパイクを打っているのが溝江)
女子では石井/溝江組が今年のマイナビジャパンツアー初出場となったが、男子で同じく今年のツアー初出場となったのが辰巳遼(DOTs)/上田翔貴(株式会社アクティブスタイル)組だ。2人がペアを組み始めたのは8月11日、12日に行われた第37回ビーチバレージャパンから。上田が昨年アクティオ杯ビーチバレージャパン・カレッジ2022第34回全日本大学男女選手権大会で優勝したときのペア高橋太が辰巳の高校時代の後輩だったこと、また辰巳自身も「せっかくなら新しいことにトライできるペアがいいな」と考えていたこともあり、辰巳から上田に声をかけたという。そのビーチバレージャパンでは「ほとんど一緒に練習できず、ぶっつけ本番でした」(辰巳)というものの、予選を勝ち上がると本戦トーナメント1回戦も勝利。2回戦で古田史郎(DOTs)/黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)に敗れて大会を終えたが、辰巳が右腕から、上田が左腕から打ち込むスパイクはともに強烈で可能性を感じさせるものだった。
ともに強烈なスパイクを持ち味とする辰巳/上田組(右が辰巳)
そして、この青森大会では予選を勝ち上がっての本戦イン。「今回もぶっつけ本番なので、もう必死に戦っています」(辰巳)という伊藤遼河/佐藤亮太(テクノスジャパン)との1回戦は、第1セットを22-24で落としたが、「僕たちが考えた通りにブレークも取れていたので『いけるね』という話をしながら頑張っていました」(辰巳)、「2セット目はサーブからどんどん攻めていったのがよかったと思います」(上田)と第2セットを21-17で奪い返すと、接戦となった第3セットも「パスをしっかり返してトスにつなげることができました」(上田)と15-13で取り勝利。
伊藤/佐藤組との1回戦はフルセットまでもつれる接戦をものにした
「(上田は)すごく動きがよくて器用な細かいプレーもできるので、僕はすごく助けられています」(辰巳)、「(辰巳は)スパイクのパワーがありレシーブ力も高いので、すごく助かっています」(上田)とお互いを認め合っている2人。「ラリー中の細かなプレーをもっと詰めていかないと、ここから上で勝っていくのは難しいと思います」(上田)とも言うが、『もしこのペアが熟成すれば、どんなプレーを見せてくれるのだろう』とワクワクするものを持っているのも確か。明日の石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/髙橋巧(ANAあきんど株式会社)組との準決勝が楽しみだ。
スケジュールに関して、本日8試合目に行われる予定だった男子1回戦の関寛之/詫間悠組vs長谷川徳海/倉坂正人組の試合は、雷のため明日に順延に。そのため明日は朝8時から男子1回戦1試合→女子準決勝2試合→男子準決勝2試合→女子決勝戦→男子決勝戦の順番で試合が行われる。