大学生の壁を越えろ。 未来を切り開く「アクティオ・ワイルドカード」。
今年3年目を迎える「アクティオ・ワイルドカード」は2021年の夏、ちょうど東京オリンピックが閉幕した直後に始まった。ベテラン勢が日本代表として君臨し、同時に若手の育成や強化が求められるタイミングだった。
このワイルドカードは、ツアー協賛社でもある株式会社アクティオが、大学生たちに「いち早くトップレベルを体感し強化を図ってほしい」「大学からトップへの道筋を作りたい」という想いをカタチにしたものだ。獲得ポイントで出場が決まるトップツアーは、まだ経験の浅い大学生たちにとっては、出場するのは狭き門。その門戸を開いたのが、「アクティオ・ワイルドカード」である。
2021年は山田紗也香(トヨタ自動車)/オト恵美里(宏潤会大同病院)組、福嶋晃介(NTTコムウェア)/小田涼太(ハウスコム)組、松本恋/松本穏組、森優樹/越智勇斗(ともに松山大4年)組、2022年は衣笠乃愛/菊地真結(ともに明海大4年)組、上田翔貴(アクティブスタイル)/高橋太(富士通)組が出場した(所属はすべて現在のもの)。
当時大学4年生だった山田、オト、小田、福嶋、上田は大学卒業後、ビーチバレーボールを生業とする社会人プレーヤーへ。高橋はV2リーグに所属する富士通カワサキレッドスピリッツに入社し活動している。
▲先輩後輩対決は小田に軍配が上がった
記念すべき初代「アクティオ・ワイルドカード」チームとして出場した小田は、当時をこう振り返る。
「僕たちが初めてアクティオ・ワイルドカードでジャパンツアーに出た時は、大学選手権で2連覇して少し伸びていた鼻を完全にへし折られた気分でした。だからこそ、まだまだ成長の余地があって面白いと思いました。このステージで戦える選手になりたいと思いました」
マイナビジャパンツアー出場がきっかけとなり、小田はビーチバレーボールへの道を志すようになったと話す。
小田は今年、パートナーの進藤涼(トヨタ自動車)と、『マイナビジャパンツアー第6戦都城大会第24回ビーチバレー霧島酒造オープン』において、予選プール戦で今年大学王者となり「アクティオ・ワイルドカード」を獲得した富田昂馬(日本体育大3年)/溝端拓真組(日本体育大1年)と対戦した。小田が大学4年のときに、富田は大学1年だった。
「2年前、僕と福嶋が学生選手権で優勝した後、『今度は自分たちに任せてください!』と富田は言ってくれました。僕と同じ大学3年で優勝を果たし、有言実行したことはうれしかったですね。自慢の後輩だなと思いました」
▲悔しさをにじませた富田
だからこそ、先輩の意地を貫き通したかったし、絶対に負けたくなかった。小田/進藤組は、富田/溝端組に第1セット、第2セットともに19点まで迫られたが、断固して勝利を譲らなかった。
「2年前はまだまだだなって思っていた後輩が、実力的にもすぐそばまできていたことにすごく焦りを感じました。逆に自分の刺激となりました。このままではダメだと思い、もっと頑張ろうと思えた試合になりました」(小田)
先輩に及第点をつけられた富田/溝端組だったが、結果以上にトップのステージで戦う意味を感じ取っていた。
「試合の展開を見れば、あとちょっとに見えたかもしれないけれど、内容はまだまだでした。体力的にしんどい中で、いかにいいプレーができるか。自分たちは甘かったです。これからの練習では、もっと息の上がった練習を積み重ねて、大学生の壁を越えてプロと同じ戦い方ができるような選手になりたい」(富田)
▲先輩後輩対決は伊藤/野口組が勝利した
女子においても、予選プール戦で伊藤桜/野口彩陽(ともに産業能率大4年)組が、山田紗也香/西堀健実(トヨタ自動車)組と対戦した。後輩たちの勢いを止められず、フルセットの末に敗れた山田は、「私が大学4年で『アクティオ・ワイルドカード』で出場した頃と今の伊藤/野口組は、比べものにならない。それほど経験値が違う」とその強さをきっぱり認めた。そんな先輩の期待も伊藤/野口組は十二分にわかっている。
「トップの大会で学生が優勝したらすごい、と周りは言いますが、自分たちは、自分たちのことを学生とは思っていない。プロの選手と同じくらいの気持ちで戦っています」(伊藤)
ビーチバレーボールはポイントを獲得していけば、カテゴリーの枠を超えて戦える競技。同じ土俵で戦うのであれば、学生も社会人もプロも一切関係ない。
無限大の魅力を持つビーチバレーボールという競技の素晴らしさや、そこで高みを目指す意識を芽生えさせるきっかけとなっているのが、浸透した「アクティオ・ワイルドカード」だ。
今後も、大学生の壁を越えて夢に向かって突き進む選手たちがどんどん現れるだろう。その若いチカラが、ビーチバレーボールの未来をきっと押し上げていくに違いない。
▲アクティオの腕章はワイルドカードの称号