黒川/福嶋組、2年目の挑戦。 「新たな壁を乗り越えたい」
国際大会で活躍できる選手を日本から多く輩出していくことを目指し強化費の一助となるように受賞チームには100万円が授与される「マイナビワールドチャレンジプロジェクト」。2022シーズンは、栄誉ある賞の期待に応えるべくニューフェイスが躍動したシーズンだった。
その代表格が昨季ルーキーイヤーとなった福嶋晃介と、入社5年目でツアー初優勝を果たした黒川魁のNTTコムウェア組だ。
第2戦大洗大会で初優勝を果たした黒川/福嶋組は、第4戦名古屋で3位、第6戦松山大会では2位に入り、初のファイナル大会に進出。6大会出場で総合4位に堂々とランクインした。
▲レシーバー・黒川のディグ
最大の武器として機能したのは、身長190cmのブロッカー・福嶋のブロックとレシーバー・黒川のディグがかみ合ったディフェンスからの決定率の高さ。「自分が拾えるのは晃介の存在があるから。ブロッカーがいかに仕事をするかが勝利のカギ」と黒川は福嶋のポテンシャルに期待する。
一方、ネット際でスパイカーをよく観察し、「止めにいくブロックと拾わせるブロックを使い分けている」と語る福嶋。相手が攻撃してくる瞬時に思考を張り巡らせる巧みなブロックスキルは、ベテランのブロッカーたちからも一目置かれていた。
2023シーズンは、当然のごとく優勝候補の一角にあげられている黒川福嶋組。
マイナビジャパンツアー開幕会見に選手代表としても出席。福嶋は「昨季は、何が通用して、何が通用しないか大会ごとにアップデートしてきた。さらにオフシーズン、海外チーム相手にいろいろ練習してきたので、それをどれだけ出せるかだと思う」と意欲を見せていた。
▲福嶋のオーバーハンドセット
しかし、3戦を終えていざ蓋を開けてみると、第1戦5位、第2戦9位と表彰台に上がれない日々が続いた。第3戦1回戦では第2戦決勝トーナメント1回戦で敗れた二宮大和(ハルテンジャパンリミテッド)/石川瀬那(国際基督教大学)組にリベンジを果たしたが、準決勝では長谷川徳海/倉坂正人組というベテランの牙城を崩せなかった。
今季、黒川/福嶋組は、ネットの横幅をフルに使ったコンビネーションバレーを展開。高さのある海外チーム対策のひとつとして、新たに挑戦している戦術だ。それがなかなかうまく噛み合わない。第3戦でも長谷川のブロックに攻撃が捕まる場面が多々あった。
「直接、得点に表われないパスやつなぎという細かい部分の質を高めて修正していかなければいけない」と黒川は課題を口にした。福嶋も「試合詰めで、コンディションもよくないし練習量が減っている。細かいことに取り組んでいるからこそ、その分練習しないと精度も上がっていかない」と悔しさをにじませた。
▲タイムアウト中の福嶋と黒川
互いに敗因を見つめていた黒川/福嶋組。ここで立ち止まっていては、国内はおろか海外でも突破口を開くことができないだろう。
「新たな壁を乗り越えたい」(黒川)
シーズン中盤に向けて巻き返しを図れるか。黒川/福嶋組の限界なき挑戦はまだ始まったばかりだ。