ビーチバレーボール

新たなファンを獲得。 都市型開催の魅力とは。

新たなファンを獲得。 都市型開催の魅力とは。

今年5年目を迎える「マイナビジャパンツアー」。時を同じくして公益財団法人日本バレーボール協会ビーチバレーボール事業部は、国内最高峰ツアーの都市型開催を掲げて邁進してきた。

都市型開催のモデルケースになったグランフロント大阪大会を筆頭に、名古屋の名城公園tonarino、松山城のお膝元・城山公園の都心部で開催を実現させた。

この取り組みが定着してきたことにより、海辺でなくても、砂さえあれば内陸でもビーチバレーボールの大会は開催が可能。「海辺(ビーチ)=会場」という先入観を見事に払拭してみせた。

このコンセプトをより色濃くするため、2023シーズンの「マイナビジャパンツアー」は、都市型開催をさらに拡充。第3戦渋谷大会は、渋谷駅から徒歩1分もかからない立地にある「MIYASHITA PARK」、第4戦では横浜の代表的な観光地として知られる「横浜赤レンガ倉庫」イベント広場で、シーズン前半の目玉として開催に至った。

▲渋谷大会の会場となったMIYASHITA PARK

赤レンガ倉庫イベント広場には1週間前にベトナム産の砂を230トン搬入し、特設コートを作り上げた。自ら赤レンガ倉庫側に問い合わせし開催の準備を進めてきたという川合庶ビーチバレーボール事業本部長はその狙いをこう話す。

「1日何万人という人々が行き交う地で開催することで、競技の存在を知ってもらうのが狙いです。1大会につき場所代、砂の運搬も含め1000万近くの運営費用がかかりますが、広告として大きな価値はあると考えています」

赤レンガ倉庫は、ランドマークタワーがあるみなとみらいと、横浜港、山下公園、中華街を結ぶ、まさに観光エリアの心臓部。週末は人の流れが途絶えることはない。コート横に立ち並ぶキッチンカーも盛況で、もっとも多いときにはおよそ500名が無料観戦エリアで試合に視線を向けていた。

▲新会場でのプレーに手応えをつかんでいた髙橋

足を止めて試合を見守っていた群衆には、驚きや感嘆の声を漏らす者、好プレーに声援や拍手を送る者、音楽に身を委ねる者、楽しみ方は人それぞれだ。

人々の熱気が溢れる舞台は、トッププレーヤーたちのモチベーションが高まり、砂をはじき飛ばすほどの迫力のあるパフォーマンスを発揮していた。

男子優勝を果たした髙橋巧(ANAあきんど)は「笛の音が聞こえてきて『何、やってるんだろう?』と会場まで足を運んでくれた人もいたそうです。新しいファンを獲得するにはとてもいい会場だったと思います」と満悦の表情で語った。

女子3位に入った沢目繭(ミライラボバイオサイエンス)/坂本実優(キュービック・スポット)組は、「最高のロケーションでプレーできてたくさんの方々に見てもらったことで、私たち選手も楽しんでプレーできました」と素晴らしい環境で表彰台に上がったことを噛みしめるようにコメントした。

▲男女決勝戦はイベント広場が人で埋め尽くされた

日本のビーチバレーボール史に残る大会となった横浜赤レンガ倉庫大会。川合氏は「来年は赤レンガ倉庫主催で開催されているスケートボードやBMXなどのアーバンスポーツイベントとの併催も視野に検討したい。そうするとより波及効果を生み出すことができると思っています」と新たな歴史の1ページ作りに意欲を見せていた。

8月に再開される「マイナビジャパンツアー2023」では、駅前や都心部、観光地での開催が目白押し。全国各地でビーチバレーボールの魅力を発信し続ける。