ビーチバレーボール

雨天の中、繰り広げられた熱戦とその裏のストーリー マイナビジャパンツアー第2戦平塚大会ガラナ・アンタルチカ杯2日目

雨天の中、繰り広げられた熱戦とその裏のストーリー マイナビジャパンツアー第2戦平塚大会ガラナ・アンタルチカ杯2日目

朝から小雨が降ったり止んだりする中で始まったマイナビジャパンビーチバレーボールツアー2023 第2戦 平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯の2日目。ビーチバレーは多少の悪天候でも試合が行われるため(嵐や雷のような荒天時には中断・中止になることがある)、選手たちは状況にアジャストしていく必要がある。

第1試合がスタートした9時30分の気温は18度だったが、海からの風は冷たく、体が冷えすぎないようインナーを着用する選手も。良いコンディションではなかったものの、雨が降ると砂が固まるため踏ん張りが利き、ジャンプしやすくなるというメリットがある。そうした中で選手たちはどんな戦いを見せるのか。晴天の日とは違うプレーを見ることができるのも、ビーチバレー観戦の醍醐味と言える。

 

小雨が降ったり止んだりする中、試合が行われた2日目

そんな雨模様の中、まず行われたのは、決勝トーナメントの1回戦。1日目のプール戦で2位、3位になったチームが対戦したのだが、結果的に敗れたものの健闘を見せたのが平良伸晃(ゲストハウスLapsi)/渡辺周馬(東京グレードベアーズ)組だ。ビーチ歴8年の平良に対し、渡辺は「ビーチを始めたのは昨年ですが、本格的にスタートしたのは今年になってから」(本人談)とビーチ経験は浅いが、元Vリーグ選手(東京ヴェルディ)ということもありポテンシャルは高く、1回戦でも明日の決勝進出を決めた古田史郎(DOTs)/黒川寛輝ディラン(しながわビーチバレーボールクラブ)組から第1セットを奪い、ファイナルセットも13‐13まで粘ってみせた。

平良/渡辺組のポテンシャルは高い

試合後、「相手のほうが身長が高いので、サーブで攻める選択をして、得点が取れるケースもありましたが、取り切れなかったときもありました。最終的には相手のほうが気持ちが強かったと思います」と唇をかんだ平良だが、パートナーの渡辺については「とにかくフィジカルが強くて、しっかりした考え方も持っています。ビーチ歴は浅いですが、イメージしたものをどういう風に実現していくかを自分なりに挑戦して、失敗したらそこからどうするかの試行錯誤ができる選手です」と評し、「気持ちの部分で引っ張ってもらっている部分もあります」と頼りにしている部分もある。

一方の渡辺も「ノブさん(平良)がレシーバーとして走り回って泥臭く拾ってくれるので、そのあとのセットをいかにしっかり上げて、勝負できるところまで持っていけるかが僕の課題です。ノブさんを輝かせるチーム、というテーマを僕は持っています」と、平良とのペアに懸けている。「まだ自分たちがやりたいバレーが表現できていない」(渡辺)と言うが、精度が上がってくれば、今シーズンどこかで優勝してもおかしくないポテンシャルを持っている。

ポテンシャルという点では、決勝トーナメント2回戦で敗れたものの、まだ大学生の伊藤桜/野口彩陽(ともに産業能率大学4年生)にも注目してほしい。ビーチバレーを始めたのは大学生になってからだが、すでにトップレベルのマイナビジャパンツアーにダイレクトインできるだけのポイントを持ち、この平塚大会でもプールCを1位通過。

大学生ペアながら、プロと伍した戦いぶりを見せている伊藤/野口組

そのプール戦では、「ミスを恐れずにプレーができ、ミスをしても切り替えることができました」(野口)と松本恋/松本穏組に勝利している。本日、プールC2位通過の松本恋/松本穏組が決勝トーナメント1回戦、2回戦、準決勝で勝利し、明日の決勝戦への進出を決めたことを考えると、伊藤/野口組にもチャンスはあったはずだが、負けたことよりも「良かったところもあるけれど、それ以上に足りないところがある2日間でした」(伊藤)と自分たちの現在のプレーにまったく満足していない伊藤/野口組。目先の勝ち負けでなく、本質に目を向けている2人だからこそ、「気持ちや技術でやるべきことを普段の練習から意識してレベルを上げ、今後の大会では優勝を狙います」(野口)という言葉を実現する日は、そう遠くないだろう。

本日は、ほかに1日目にプールBを1位通過していた橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)/村上礼華(株式会社ダイキアクシス)組が棄権し、第1戦 立川立飛大会の男子優勝・長谷川徳海/倉坂正人組が2回戦で古田史郎/黒川寛輝ディラン組に負けるということも起こった。こうした、それぞれのストーリーを垣間見せつつ、本日予定されていた決勝トーナメント1回戦、2回戦、そして準決勝は、不安定な天候の中、無事予定通り終了。

明日は1面進行で朝10時から女子3位決定戦→男子3位決定戦→女子決勝戦→男子決勝戦の順に行われる。カードは、
★女子3位決定戦〇坂本実優(株式会社キュービック・スポット)/沢目繭(ミライラボバイオサイエンス株式会社)組×山田紗也香/西堀健実(トヨタ自動車株式会社)組
★男子3位決定戦〇庄司憲右(ハウスコム株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組×関寛之(MAGS)/詫間悠(中部土木株式会社)組
★女子決勝戦〇長谷川暁子(NTTコムウェア株式会社)/坂口由里香(トーヨーメタル株式会社)組×松本恋/松本穏組
★男子決勝戦〇髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/上場雄也(松戸レガロ)組×古田史郎/黒川寛輝ディラン組
となっている。