ジャパンツアー 第10戦 グランドスラム 横浜赤レンガ倉庫大会1日目 手術から復帰の詫間選手が今季初勝利、酒井/菊地組はリベンジに成功
横浜赤レンガ倉庫1・2号館に挟まれたイベント広場に、特設ビーチバレーボールコートを設置し行われた今大会(最終戦)。晴天だったものの浜風のため肌寒い気候でしたが、多くの観客が、選手が繰り広げる熱戦を見守りました。
男子で注目の試合となったのは、古田史郎(DOTs)/関寛之(MAGS)組×石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/詫間悠(中部土木株式会社)組の対戦です。というのも、これまで長年ペアを組んできた関選手と詫間選手が公式試合で対戦するのは今回が初めて。詫間選手は「僕も関さんもハメるタイプのプレーヤー。敵になるとやりにくいですが、逆にこの試合に懸ける思いは強いです」と試合に臨みました。
試合は、古田選手がブロックを決めれば石島選手がブロックを決め返し、古田選手が躍動感あるスパイクを決めれば石島選手が高い打点からアタックを叩き込むなど、両チームのブロッカーが見せ場を作ります。同時に両チームのレシーバー、関選手と詫間選手の間でもわざとオープンスペースを作って誘ったり、ブロッカーとの連係で打つコースを限定させたりと戦術的な駆け引きがありました。決まったと思ったボールを関選手に拾われた詫間選手は「読まれている」と思うことが何度もあったと言います。
それでも試合の主導権を握ったのは石島/詫間組です。第1セットを21‐17で先取すると、第2セットでは、「前をしっかりゴッツ(石島選手)さんに固めてもらって、僕が後ろで動くということがうまくできたと思います」(詫間選手)、「僕がいいブロックをできるのはレシーバーの位置取りがいいから。レシーバーから指示をもらって僕が前で動いています」(石島選手)と、連係が機能し9連続ブレイクに成功。その勢いのままこのセットも21‐11で奪い勝利しました。
この勝利は、詫間選手にとって今季のジャパンツアー初勝利となりました。昨季から右肩のインピンジメント症候群(肩の関節付近で骨や筋肉、腱などがぶつかることで痛みを引き起こす疾患)に悩まされていた詫間選手は3月に手術を行い、リハビリを経て今季の第6戦名古屋大会からジャパンツアーに復帰。その後、須磨大会と松山大会に出場していましたが、これまでは全て1回戦負け。今回の勝利でリズムに乗り、明日はさらなる躍動を見せてくれそうです。
女子では、酒井春海(株式会社甲斐組)/菊地真結(トーヨーメタル株式会社)×坂本実優(株式会社キュービック・スポット)/沢目繭(ミライラボバイオサイエンス株式会社)が見逃せない試合となりました。両チームは今季の平塚大会と全日本女子選手権大会で対戦し、どちらも坂本/沢目組が勝利しています。
3度目の対戦となった今回は、酒井/菊地組が21‐13、21‐19でリベンジに成功しました。「ネックだったサーブキャッチを強化して返球率が高くなり、攻撃につなげることができました。これまでとは違う展開にできたのがよかったと思います」(酒井選手)、「これまでは相手のサーブで崩されて自分たちの攻撃ができなかったので、まず自分たちの1本目を大切にしようと思っていました」(菊地選手)と課題をしっかりクリアしたことが勝利につながりました。今季からペアを組み始めた酒井/菊地組ですが、酒井選手が「2人がちゃんとやるべきことをやれば上のチームとも戦える」と言えば、菊地選手も「シーズンを通してチーム力が着実にアップしてきていると思います」とコメントするように最終戦になって歯車がかみ合ってきたようです。
明日は男女の準決勝と決勝が行われますが、見逃せないのが、今大会での現役引退を表明している橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)選手のプレーです。デンソーエアリービーズで4年間プレーし、その後ビーチに転向して8年間プレー。ジャパンツアーでは過去に何度も優勝しています。ペアの村上礼華(株式会社ダイキアクシス)選手は、「すず(橋本選手)さんが最後の大会なので緊張します」と言いますが、橋本選手は「今まで2人で築き上げてきたスタンスを大事にして、お互いを信じて最後の1点まで集中してプレーしたいと思っています」と、最後となるこのGS横浜赤レンガ倉庫大会でも優勝し有終の美を飾ることを目指しています。
そして大会前日の8日(金)には川合庶ビーチバレーボール本部本部長、庄司憲右(ハウスコム株式会社)選手と、酒井春海(株式会社甲斐組)選手が横浜市の佐藤広毅副市長へ表敬訪問しました。
庄司選手は「横浜市在住ということもあり、普段家族で遊びや食事をしに来たりする場所で試合があるので良い成績を出せるように頑張ります」と伝え、酒井選手も「私は生まれも育ちも横浜なので、赤レンガ倉庫は青春の場所。昔の友達も応援に来るのでいいところを見せたい」と抱負を述べました。
佐藤副市長からは「昨年に引き続きビーチバレーボールの試合を見に行くのを楽しみにしている」とエールをいただきました。