ジャパンツアー第9戦マイナビ松山大会 旭食品杯最終日 女子は橋本/村上組が昨年に続き連覇、男子は黒川/安達組が初優勝
昨日のぐずついた天気から一転、朝から青空が広がり気温も26度まで上がるビーチバレー日和となった第9戦 マイナビ松山大会 旭食品杯の最終日(2日目)。男女の準決勝、そして決勝が行われました。
女子決勝は、柴麻美(株式会社帝国データバンク)/丸山紗季(地元法人マーチオークシー)組×橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)/村上礼華(株式会社ダイキアクシス)組の対戦となり、両チームが今季のジャパンツアー決勝で戦うのは第5戦マイナビ青森大会に続き2回目で、そのときは橋本/村上組が21‐16、21‐14で勝利しています。
第1セット、まず流れを掴んだのは橋本/村上組です。相手のアタックコースを読んでボールを拾うと、橋本選手は高い打点からのハードヒット、村上選手はオープンスペースを的確に突くコントロールショットでブレイクを重ね、10‐6とリードします。その後も橋本選手のモンスターブロック、村上選手のライン、カット、ドロップ、ディープといった多彩な攻撃でリードを広げた橋本/村上組がこのセットを21‐14で先取。いい流れに乗れた要因を橋本/村上組は、「質のいいコミュニケーションが取れていたのでミスが少なく、ボールの質もよくなりました」(橋本選手)と分析していました。
第2セット、自分たちに流れを引き込みたい柴/丸山組は「サーブで前後左右を狙って崩すこと」(丸山選手)を試みましたが、橋本/村上組に対応され連続得点には結び付きません。一方の橋本/村上組は、身長182cmの橋本選手が「今回のコートは砂が固かったので、いつもより動きやすく高く跳ぶことができました。そこでブロックではタイミングを合わせて止めにいくというよりも、ボールがある程度近いときは私が先にボールに触りにいく意識をしていました。それが結果的に相手へのプレッシャーにもなったと思います」というプレーを展開。実際、それは効果があり対戦した柴選手は「橋本選手の高いブロックに対して迷いが出てしまいました。意識しすぎました」と言います。
また、攻めては第1セット同様、橋本選手の高い打点からの打ち込み、村上選手の多彩なショットで確実に点を重ね、橋本/村上組が12‐8と中盤でリードしました。対する柴/丸山組は、ツーアタックやハードヒットとみせかけたドロップなど意表を突いたプレーで相手のリズムを崩そうとしますが、橋本/村上組は橋本選手の高さと村上選手の機動力のコンビネーションのよさで対応。結局、橋本/村上組がこのセットも21‐16で取り勝利し、昨年に続き松山大会連覇を達成しました。
今シーズンでの現役引退を表明している橋本選手は、11月9日~10日の日程で行われるジャパンツアー第10戦グランドスラム横浜赤レンガ倉庫大会が最後の大会となります。それに向けて「ビーチバレーボール選手としても一人の人間としても、どれくらい成長できるのかということにチャレンジしながら、最後の1球まで私らしくプレーしたいと思っています」と橋本選手。ペアの村上選手も「(橋本選手は)私にとってお姉さんのような存在で、成長させてもらいました。横浜赤レンガ倉庫大会では二人の力を出し切って、有終の美を飾りたいと思っています」と意気込んでいます。
一方、敗れた柴/丸山組は、横浜赤レンガ倉庫大会期間はアジア選手権大会に出場するためこの松山大会が今季最後のジャパンツアーとなりました。今年は優勝3回、準優勝4回という好成績を残したことについて、「海外を含めいろいろな大会で経験を積んできたことで地力は付いてきていると思います。ジャパンツアーでは、変なプレッシャーを感じることなく、試合中もいろいろなことを話し合って、プレーすることを楽しめていました」(柴選手)、「できることが増え、いろいろなチョイスが可能になってきました。課題は相手に対応して動くことです」(丸山選手)と、自身の成長を感じると同時に新たな課題も見つかったシーズンとなったようでした。
男子で決勝まで勝ち進んできたのは、黒川魁(NTTコムウェア株式会社)/安達龍一(トヨタ自動車株式会社)組と、髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組です。両チームともアジア選手権大会への出場が決まっているため、今季のジャパンツアーでの戦いはこの松山大会決勝が最後となりました。
第1セット、序盤は池田選手のモンスターブロック、髙橋選手のディグからのハードヒットなどで髙橋/池田組が11‐6とリードしましたが、黒川/安達組はサービスで相手の陣形を崩して少しずつブレイクを重ね、16‐16と追い付くことに成功します。どちらが主導権を握るか分からない展開になりましたが、勝負所でサービスエースを決めた髙橋/池田組に対し、黒川/安達組はパスやアタックでミスを重ねてしまい、このセットは21‐17で髙橋/池田組が先取しました。
第2セット、ここで躍動したのは黒川/安達組です。「準決勝が激戦で疲れが残っていたのと、ペアとしては初めての決勝進出で1セット目はエンジンがかかるのが遅くなりました。1セット目と2セット目の間に『せっかく掴んだチャンスをものにしよう。ここで優勝しなきゃ、次にいつ優勝できるか分からないぞ』と話をしました。それで気合を入れなおすことができました」と黒川選手が言う通り、安達選手が198cmの長身を生かした高い打点からのハードヒット、モンスターブロックで相手にプレッシャーをかけると、それに呼応するかのように黒川選手もサービスエース、オープンスペースを突くショットなどで加点。長いラリーをものにするなどの粘り強さも見せ、このセットを21‐19で奪いました。
その黒川/安達組の勢いは最終セットでも続き、安達選手のダイレクトアタック、黒川選手のサービスエースなどで11‐6と大きくリード。終盤にはアタックをブロックされた黒川選手が、浮いたブロックボールをもう一度アタックするというスーパープレーも飛び出し、黒川/安達組が15‐9で勝利。黒川選手にとっては第5戦マイナビ青森大会に続いての今季ジャパンツアー2度目の優勝(ペアはマルキナシム(トヨタ自動車株式会社)選手)、安達選手にとっては初のジャパンツアーでの栄冠獲得となりました。安達選手は「苦しい場面もありましたが、目の前の1ポイント1ポイントに集中して最後は勝ち切ることができました。今回は両親と祖母が応援に来てくれていたので、初優勝の姿を見せることができてよかったです」と喜びをかみしめていました。