ジャパンツアー 第9戦 マイナビ松山大会 旭食品杯1日目 オト選手が大ケガから約2年半ぶりの復帰、新ペア黒川(寛)/長谷川組が躍動
愛媛県松山市の中心部にある勝山(標高132m)の山頂に本丸を構える松山城。日本100名城の一つでもあるその松山城の麓、城山公園堀之内に特設ビーチバレーコートが設置され、ジャパンツアー 第9戦 マイナビ松山大会 旭食品杯が行われました。この場所でジャパンツアーが行わるのは2019年以来5年ぶり。時折小雨が降る天候だったものの、男女各8組が熱戦を繰り広げました。
朝8時からの第1試合に登場したのは、今季ジャパンツアー3勝を挙げている柴麻美(株式会社帝国データバンク)/丸山紗季(地元法人マーチオークシー)組と、今回が初ペアとなるオト恵美里(宏潤会大同病院)/石井美樹(湘南RIGASSOビーバレーボールクラブ)組です。このうちオト選手がジャパンツアーで戦うのは、2021年第3戦の沖縄大会以来となりました。産業能率大学2年生時(2020年)と3年生時(2021年)にビーチバレー大学選手権を連覇しているオト選手ですが、2022年のジャパンツアー第1戦立川立飛大会の前日練習で左ひざの前十字靭帯、半月板、内側側副靭帯を損傷。手術を受けてリハビリに励み、約1年後には動けるようになったものの、「怖さが抜けなくて思い切りプレーができずコートに立つことができませんでした」と言います。それでも「いろいろな人のサポートのおかげでまたコートに立てるようになりました。感謝の気持ちでいっぱいです」とメンタル面での不安を克服し、10月上旬のサテライト碧南大会ではベスト4入りをしていました。
そして臨んだ今回の松山大会。オト選手から石井選手にお願いしてペアを組むことになったのですが、パリ2024オリンピックを終えて『これからは若い選手と組んでいこう』と考えていた石井選手は「オト選手のジャパンツアー復帰戦ということで、力になりたかった」と言います。試合が始まると、「ケガをする前よりキレが出ていると思います。力だけで押すのではなく、ブロックアウトを狙ったり、オープンスペースにうまく落とすことができていました」と言うオト選手の活躍もあり、第1セットはオト/石井組が21‐19で先取しました。
続く第2セットは柴/丸山組が21‐16で取り返し迎えた最終セット、中盤の7‐7までは追いつ追われつの接戦となりましたが、終盤で連続得点し15‐10と振り切ったのは柴/丸山組。復帰戦での金星をあと一歩のところで逃したオト選手ですが、石井選手が「瞬発系の動きとボールを打つ速さはピカイチ」と評するようにポテンシャルは高いものがあります。オト選手も「自分のやるべきこと、強みをひたすら練習して、勝っていける選手になります」と今後に向けて力強く宣言してくれました。
そうして復帰を果たした選手がいる一方、さらなる飛躍を期して新ペアを結成したのが男子の黒川寛輝ディラン(LIVZON)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組です。2人が連絡を取り合ってペアを組むことにしたのは9月末~10月頭ですが、その直後に出場した川崎市長杯(10月12~13日)でいきなり優勝。この松山大会1回戦でも今井駿世/松井晴皆(ともに梅畑家)組に21‐17、21‐13で勝利し、ペアとしての相性の良さを見せてくれました。「(黒川(寛)選手は)ビーチバレーボールへの探求心が強い。
今後、それがペアとしての武器になってくるはず」(長谷川選手)、「(長谷川選手は)声かけやリードをいろいろな面で工夫してやってくれる。初めて聞く思考やワードチョイスがたくさくあって『そういう風に考えたらポジティブになれるんだ』と思うことがたくさんあります。僕がネガティブなんで(笑)。また二人で一緒にゲームプランを組み立てていくということも強みになると思います」(黒川(寛)選手)と、お互いのマインドを認め合っていることが今後さらなるペア力アップにつながると思われます。
その黒川(寛)/長谷川組と大会2日目の2回戦で対戦するのが、黒川魁(NTTコムウェア株式会社)/安達龍一(トヨタ自動車株式会社)組です。ジャパンツアー3戦目となる黒川(魁)/安達組は、1回戦で白石澄空(愛知学院大学)/佐藤亮太(テクノスジャパン)組に21‐12、21‐17で勝利しての2回戦進出ですが、第8戦JBG須磨大会でも1回戦で対戦し、そのときはフルセットでの勝利。今回はストレートで勝利できたことについて、「触ったボールを点につなげる能力、ブレイクできる力がついてきたと思います。ロングラリーを取り切れるようになったのが自分としてもチームとしても成長しているところ。少しずつ自分たちの作りたい攻撃ができるようになってきています」(安達選手)、「まず、サーブを強化してきました。そして、チームの特徴を生かしたバレーボール、具体的には安達選手の高いブロックを生かしてディフェンスを機能させることに取り組んできました」(黒川(魁))と、それぞれの課題、そしてペアとしての課題に取り組んできた成果であることを語ってくれました。2回戦の黒川(寛)/長谷川組との対戦は、ワクワクドキドキの展開になることが予想されます。
このように見逃せない試合が続いた大会1日目ですが、大会前日の10月25日には、日本バレーボール協会ビーチバレーボール本部本部長の川合庶氏、愛媛県バレーボール協会会長の中村進氏、村上礼華(株式会社ダイキアクシス)選手、坪内紫苑(ANAエアポートサービス株式会社)選手が松山市の田淵雄一郎副市長を表敬訪問しました。
川合本部長がどのようにビーチバレーコートを設置するのかを説明すると、田淵副市長からビーチバレーの注目ポイントについての質問があり、坪内選手が「外でやるので風の影響を受けやすく、風を考えてプレーをするところがインドアのバレーボールと違うところです」と答えていました。そして最後に田淵副市長から「(今大会が)ぜひ盛り上がってほしいと思っている。
今年とても盛り上がって、来年以降もぜひ来てほしい」という激励の言葉があり、村上選手から田淵副市長へ村上選手、坪内選手のサイン入りの帽子をプレゼントして表敬訪問を終えました。