ビーチバレーボール

ジャパンツアー第8戦 JBG 須磨大会1日目 オリンピアン&若手ペア、ポテンシャルを秘めたペアなど見逃せない試合が続出

ジャパンツアー第8戦 JBG 須磨大会1日目 オリンピアン&若手ペア、ポテンシャルを秘めたペアなど見逃せない試合が続出

JR神戸線・須磨駅の南口を出てすぐの須磨海岸で行われたジャパンツアー第8戦JBG須磨大会。大会名に入っているJBGは、ビーチスポーツが一堂に会する日本最大級のビーチイベントJAPAN BEACH GAMESの略で、大会期間中(10月5日~6日)はビーチバレーのほか、ビーチテニス、フレスコボール、スラックライン、ビーチモルック、ビーチサッカー、ビーチコーフボール、ビーチハンドボールの大会も開催されました。

 

シーズンも終盤に入ってきたこの時期、新たな相棒と大会に臨むペアも多くなってきましたが、女子でどんな戦いを見せてくれるのか注目だったのは長谷川暁子(NTTコムウェア株式会社)/伊藤桜(日本通運株式会社)組と、石井美樹(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)/笹渡美海(産業能率大学)組の2組です。パリ2024オリンピックに出場し、第6戦グランドスラム(GS)名古屋大会、第7戦GSお台場大会と2大会連続優勝した長谷川選手と石井選手がそれぞれ若手(伊藤選手22歳、笹渡選手19歳)と組むことで、どんなケミストリーを見せてくれるのかが楽しみでした。

 

▲長谷川/伊藤組

 

そんななか始まった試合ですが、現実は厳しいものでした。まず登場した長谷川/伊藤組は、辻村りこ(ANAエアポートサービス株式会社)/西堀健実(トヨタ自動車株式会社)組にストレート負け(10‐21、19‐21)。特に第1セットは連係が乱れて11連続得点を許すなどリズムを掴むことができませんでした。そして石井/笹渡組は、松本恋/松本穏(ともにフリー)組にフルセットで敗退。第1セットを13‐21で落としたあと、第2セットは石井選手のオープンスペースを的確に突いたショットや笹渡選手のパンチ力あるハードヒットなどで23‐21と奪い返しましたが、第3セットは12‐15。勝負どころでブロードやクイックなど変幻自在な展開をしてくる松本姉妹に振り切られてしまいました。

▲石井/笹渡組

 

男子の注目ペアは、黒川魁(NTTコムウェア株式会社)/安達龍一(トヨタ自動車)組と、黒川寛輝ディラン(LIVZON)/マルキナシム(トヨタ自動車株式会社)組です。両ペアとも第7戦GSお台場大会から組んでいますが、そのときはどちらも1回戦敗退。4選手ともにポテンシャルを秘めているだけに、今回に向けてどれだけペア力を高めてきているかが勝利のカギになると思われました。

 

そのうち黒川(魁)/安達組は、白石澄空(愛知学院大学)/佐藤亮太(テクノスジャパン)組と対戦。身長198cmの安達選手が高い打点から放つスパイクやモンスターブロック、黒川(魁)選手の機動力を生かしたディグ&アタックで加点していきますが、細かいミスも多く、第1セットは18‐21と先取されました。それでも第2セットを21‐17で奪い返すと、迎えた勝負の最終セットでは11‐11から集中力を上げていきます。安達選手がコートに突き刺すような鋭いハードヒットを決めて流れを呼び込むと、相手のミス、黒川(魁)選手のグッドサーブからのブレークなどで4連続得点。15‐11で勝利しました。

試合後、「ペアとしては可能性しかないと思います。一緒にやっていて楽しいですし、これからどんどん強いペアにチャレンジしていきたいです」と黒川(魁)選手が言えば、安達選手も「魁さんには昨年から『単発でも一緒に出ないか』と声をかけていただいていて、組むのが楽しみでした。僕はフィジカルに恵まれていると思いますが、経験という面では魁さんに引っ張ってもらっています」と、お互いに刺激を受けている様子でした。またゲーム中は、黒川(魁)選手が「ここは点を取りにいこう」、安達選手が「ここ頑張りましょう」と声かけすることが頻繁にありましたが、「魁さんのおかげでメリハリのあるプレーができました」(安達選手)、「サイドアウトで狙われると精神的にキツくなることがありますが、今日は安達の声かけに助けられました」(黒川(魁)選手)と、お互いコミュニケーションを取り続けたことも最後まで集中力を切らさず戦い抜けた要因となったようでした。

 

男子注目のもう1組、マルキ/黒川(寛)組は詫間悠(中部土木株式会社)/関寛之(MAGS)組と対戦しました。「先週のお台場大会は急遽ペアを組むことが決まって、2人で合わせたのは1時間くらいだけでしたが、今回は2人でしっかりコミュニケーションをとって、やることをシンプルにすることを心がけました。それが集中し続けることにつながって、いいプレーができたのだと思います」(マルキ選手)、「これまで不調が続いていたので、練習からいろいろなことを改良してきました。試合ではその成果を発揮したいという一心でプレーしていました。自分自身に矢印を向けたのが結果的によかったのだと思います」(黒川(寛)選手)と、2人の波長がピッタリと合ったことで終始リードを保ちつつ加点。いろいろな展開でリズムを崩そうとしてくる詫間/関組に惑わされることなく、21‐12、21‐16で勝利しました。

2日目に行われる準決勝では、黒川(魁)/安達組は永井雄太(松戸レガロ)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)と、マルキ/黒川(寛)組はMark Nicolaidis/Thomas Hodges(ともにオーストラリア)組と対戦します。永井/長谷川組は1回戦で第1シードの石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/庄司憲右(ハウスコム株式会社)組に、Nicolaidis/Hodges組は第7戦GSお台場大会の覇者・髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組に勝っているだけに、激戦となるでしょう。