ビーチバレーボール

ジャパンツアー 名古屋大会 男子は上場/長谷川組が今季2勝目 女子はパリ五輪9位の長谷川/石井組が栄冠獲得

ジャパンツアー 名古屋大会 男子は上場/長谷川組が今季2勝目 女子はパリ五輪9位の長谷川/石井組が栄冠獲得

傘をさしていてもずぶ濡れになるほど強い雨足となったかと思えば、太陽が顔を出し少し動くだけで汗ばむくらい暑くなるなど、不安定な天候のなかでの戦いとなったジャパンビーチバレーボールツアー2024 第6戦 グランドスラム 名古屋大会の2日目(最終日)。男女の準決勝と決勝が行われ、表彰式には日本バレーボール協会の川合俊一会長とともに、愛知県の大村秀章知事にも参列いただきました。

 

男子で決勝まで駒を進めてきたのは、髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組と、上場雄也(松戸レガロ)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組です。このうち髙橋/池田組は今季のジャパンツアー3戦目で初の決勝進出。一方の上場/長谷川組は第2戦 都城大会 霧島酒造オープンに続き2度目で、そのときは石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/庄司憲右(ハウスコム株式会社)組と対戦し優勝しています(今回も準決勝で石島/庄司組に勝利しての決勝進出でした)。

 

第1セット、「こちらのサーブが効いていて、相手のやりたいコンビバレーを展開させなかったのがよかったと思います」という上場/長谷川組が、ブロックでもプレッシャーをかけたことで相手ミスを誘うことに成功。13‐4と大きくリードを奪いました。その後も、上場選手が鋭いハードヒットを叩き込めば、長谷川選手はハードヒットとショットをうまく織り交ぜて相手を惑わすという絶妙の攻めを展開し、このセットを21‐14で先取しました。

 

しかし続く第2セットでは髙橋/池田組が反撃開始。上場選手がアタックを打つように仕掛けて池田選手がラインを完全に防ぐようにブロックに跳び、カットに打ち込んでくるアタックを髙橋選手がディグで上げるというパターンが機能したことで、髙橋/長谷川組が10‐5とリード。さらに、池田選手のモンスターブロック、髙橋選手のサービスエースなども決まり、このセットは21‐13で髙橋/池田組がものにしました。

そして迎えた勝負の最終セット、8‐8までは接戦となりましたが、このセットからブロッカーになった長谷川選手がネット際でプレッシャーをかけたことで相手の連続ミスを誘発。上場/長谷川組が10‐8と抜け出すと、続くポイントでは上場選手が左腕をムチのように振り抜くスパイクで得点。「僕はショットを打つタイプではなく、ペチペチ打って拾われるのはイヤだったので、髙橋選手に向かって思い切り打ち込んで勝負しようと思いました。そのほうが見ている人もおもしろいと思いますし、自分も楽しいですし」という上場選手の思い切りのよさがさらにチームに流れを呼び込み、結局、上場/長谷川組が15‐11で勝利しました。

 

これで上場/長谷川組は今季2勝目。2人は9月28日(土)~29日(日)に行われる第7戦 グランドスラム お台場大会にも出場予定で、ペアとしては今シーズンの最終戦になるとのこと。レフトとライトのスイッチだけでなく、ブロッカーまで変わってしまう変幻自在ぶりが特徴の上場/長谷川組が、2018年以来6年ぶりに行われるお台場でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみです。

女子決勝のカードは橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)/村上礼華(株式会社ダイキアクシス)組×長谷川暁子(NTTコムウェア株式会社)/石井美樹(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)組となりました。両ペアともパリ2024オリンピック前は日本代表として一緒に練習を行っていたこともあり、お互いのことを熟知しています。いかに流れを自チームに引き寄せるかが勝利のカギになると予想されました。

 

第1セット、流れに乗ったのは長谷川/石井組です。石井選手のサービスエースやワン返し、長谷川選手のダイレクトアタックなどで加点し、11‐4と中盤で大きくリードしていきます。対する橋本/村上組は橋本選手の高い打点から打ち下ろすハードヒット、村上選手のサービスエースで何とか流れを呼び戻そうとしますが、長谷川/石井組はアタックを打つときだけでなく常に相手コートの状態を確認。少しでもオープンスペースがあればワン返しやツーアタックで狙う意表を突くプレーを見せるなどし、このセットを21‐13で先取しました。

 

第1セットの長谷川/石井組の戦いぶりは、さすがパリオリンピックで9位をマークしたペアというものでしたが、第2セットで主導権を握ったのは橋本/村上組です。第1セットでは長谷川/石井組のサーブで崩される場面が多かったのですが、このセットではサーブレシーブが安定したことできっちりサイドアウトが取れるようになりました。そうしてリズムを掴むと、橋本選手がブロックでプレッシャーをかけて、村上選手がディグでボールをつなぐという持ち味が出てくるようになり連続してブレークに成功。16‐10と大きくリードすると、最後は村上選手がディープへうまくコントロールし、21‐18でこの第2セットを奪いました。

そして迎えた第3セット。「第2セットはリードされたことで集中力が切れ、盛り返すことができませんでした。またスパイクも置きにいっていた部分があったので、第3セットではサイドに打っていくこと、ブロックタッチして自分たちのペースに持っていこうと話し合いました」という長谷川/石井組が7‐4と序盤で抜け出すと、その後も「サーブからのブロックディフェンスが効いたと思います」(長谷川選手)と手を緩めず、15‐7で勝利。「オリンピック後に出る初めての大会なので、皆さんから注目され、他の選手にはマークされているという、いろいろなプレッシャーがありましたが、そんななか優勝できたことは強くなっている証しだと思います」と、ビーチバレー選手としての成長を実感しているようでした。