ジャパンツアー 第6戦 グランドスラム 名古屋大会 パリ五輪凱旋、ベテラン&若手、ウルフドッグス名古屋など注目プレーヤーが大集結
男子の注目試合は、石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/庄司憲右(ハウスコム株式会社)組×水町泰杜(トヨタ自動車株式会社)/Nejc Zemljak(スロベニア)組の対戦でした。水町選手がジャパンツアーに参戦するのは第4戦の立川立飛大会に続いて2大会目。その立川立飛大会では準優勝していますが、そのときに優勝したのが石島/庄司組。ペアがMaj Nanut(スロベニア)選手からZemljak選手に変わった今回は、どんな熱戦が繰り広げられるのかが楽しみでした。
その第1セットの第1ポイント、「今回、初めてブロッカーをしました」と言う水町選手がモンスターブロックを決めたことで流れを掴んだのは水町/ Zemljak組です。その勢いのままサーブで相手を崩すなどしてブレークに成功し6‐3とリードすると、その後も相手レシーブを大きく弾く水町選手のハードヒット、オープンスペースにボールを落とすZemljak選手のカットショットなどで着実に加点。このセットを21‐13で先取しました。
しかし第2セット以降は石島/庄司組が反撃開始。特に圧巻だったのが石島選手のブロックで、序盤に3本をまとめて決めたことで流れを呼び戻し、このセットを21‐17で奪い返す原動力となると、最終セットでも序盤で2本のブロックを決めて4‐1と引き離しにかかります。対する水町/ Zemljak組は、粘りを見せて8‐9まで迫りますが、その後に再び引き離されて、結局、石島/庄司組が15‐11で勝利しました。
試合後、「自分が狙われたうえでブロックまでいかなければならなかったので、体力的にキツくて中盤からフラフラになりました。また石島選手に何本もブロックされたのは、アタックの打ち方がよくなかったからだと思います。スイングが遅くなってしまっていたので、もっとスパンスパンと打てばよかったです」とコメントした水町選手。これからはインドアに移行し、ウルフドッグス名古屋の一員としてSVリーグに挑みます。「2人で戦うビーチは体力的にもメンタル的にもキツい中でボールに触らなければなりません。この経験をインドアでも生かして、終盤の競った場面でボールを託されたときに決められるようになりたいです」と新たなステージに向けて気持ちを切り替えていました。
その水町選手がインドアで所属しているウルフドッグス名古屋は、昨年の名古屋大会からワイルドカードを得ていますが、今年、大会1週間前に行われたチーム内のトーナメントで優勝し出場権を勝ち取ったのは、アウトサイドヒッターの高梨健太選手とリベロの市川健太選手。髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組というビーチ巧者相手にどんな戦いを見せてくれるか楽しみでした。
そして始まった試合。市川選手が「同じバレーボールですが、ビーチとインドアはまったく違う競技。特に砂の上での動きが難しかったです」と振り返ったように、1点を取ることさえ大変で、第1セットは6‐21と大差を付けられてしまいます。それでも「7点を取ろうという気持ちで入ったら変な力が入らずリラックスできました」(市川選手)という第2セットは、市川選手のカットショットや高梨選手が高い打点から打ち込むハードショットが決まり序盤は7‐7と接戦に。しかしその後は、「僕たちはラリーになるとほとんど点を取れなかったのに、相手はスパイクをちゃんと拾ってそれをしっかり攻撃につなげてくる。そうした一連のプレーに差がありました」(高梨選手)という展開になり、結局13‐21で敗退。
敗れはしたものの、試合後に「2人でプレーするビーチはパスをしたらスパイクが回ってくるので、6人のインドアに比べて大変でした。しかも太陽が照りつける外での戦いなので、2セットやっただけなのに軽い熱中症になりそうでキツかったです。でも、自分が少しずつビーチバレーに適応している感じもあって楽しかったです」と振り返ったのは市川選手。高梨選手も「少しだけですがスパイクが決まったのがうれしかった。ビーチは楽しいですね」とコートを後にしました。
女子で注目カードとなったのは、長谷川暁(NTTコムウェア株式会社)/石井美樹(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)組×伊藤桜(日本通運株式会社)/畑辺千代(フリー)組の対戦です。パリ2024オリンピックで9位に入った長谷川/石井組に対し、第4戦立川立飛大会の覇者・伊藤/畑辺組がどんな戦いを見せるのか。コートを一望できる「空への階段」から多くの観客が見守りました。
第1セット、まずリズムを掴んだのは長谷川/石井組。長谷川選手の2本連続サービスエースや石井選手の機動力を生かしたレシーブ&スパイクで得点を積み上げ、20‐14とセットポイントを握りました。しかし、ここから驚異の粘りを見せたのが伊藤/畑辺組。ボールをつないで相手のスパイクミスを誘うと、攻めては畑辺選手がオープンスペースに的確にスパイクを打ち込み4連続得点。18‐20と追い上げていきます。それでも続くポイントで石井選手がブロッカーの後ろにふわりと落とすポーキーショットを決め、長谷川/石井組が21‐18で先取しました。
第2セット、「この名古屋大会がオリンピック後に出る初めての大会で、出場すると決めてからはこのために準備をしてきました。みんなから注目を浴びることも分かっていましたし、選手たちからは研究されていたので、たくさんのプレッシャーがありましたが、パリ2024オリンピックを日本から応援してくださった皆さんに恩返しができるよう頑張りました」(長谷川選手)、「オリンピック後ということはあまり意識せず、やるべきことをやるという意識で臨みました。そのプレーを見て何かを感じ取ってもらえればと思います。名古屋大会に出るのは2回目ですが、都市型開催ということでお客さんが多く、声援が力になることを実感しました」(石井選手)という長谷川/石井組が終始主導権を握ってリードを守り、21‐15で勝利しました。
長谷川/石井組は明日の準決勝、オーストラリアのGeorgia Johnson/Stefanie Fejes組と対戦します。
「ミキとペアを組んで初めてのジャパンツアーなので、いいプレーを見せてビーチバレーの魅力が伝わるように頑張りたい」(長谷川選手)、「アキさんと組むことで2人の気持ちがそろうことがビーチバレーではとても大事だと改めて気づきました。明日も1点1点の重みを感じながら2人で戦いたい」(石井選手)と気合十分の長谷川/石井組。ダイナミックなプレーで、大会2日目も会場を盛り上げてくれるはずです。