ジャパンツアー第5戦マイナビ青森大会 元Vリーグ選手、大学チャンピオンそれぞれの戦い
傘をさしていても体がずぶ濡れになるほど激しい雨となったかと思えば、雷鳴が聞こえてきたため試合が一時中断されるなど不安定なコンディションのなかスタートしたマイナビ青森大会。それでも雨が止み太陽が顔をのぞかせる時間帯もあったこと、会場となった青森駅前ビーチはJR青森駅を出てすぐという好立地で、青森市文化観光交流施設「ねぶたの家ワ・ラッセ」や飲食・物販ショップなどが入る複合商業施設「A-FACTORY」という普段から人通りの多い場所に隣接していることもあり多くの観客が、選手たちが繰り広げる熱戦を見守りました。
男子で注目だったのは、勝岡将斗(フリー)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組です。今年4月にウルフドッグス名古屋を退団し本格的にビーチバレーに挑戦することを宣言した勝岡選手と、ビーチバレー歴17年で日本代表に選ばれたこともありジャパンツアーでは何度も優勝している長谷川選手。2人がペアを組むのは今回が初めてで、長谷川選手のほうから声をかけ、連絡を受けた藤岡選手は「めちゃくちゃうれしかったです」と言います。
試合は、倉坂正人(フリー)/白鳥勝浩(株式会社カブト)組と対戦。第3戦グランドスラム グランフロント大阪大会の覇者相手に、勝岡選手の果敢なツーアタックやサービスエースなどでリードする場面もありましたが、結果は14‐21、12‐21で敗退。「シンプルに相手がうまかったです。インドアではアウトサイドヒッターだったので自分でパスして打つことはある程度できていたと思いますが、ブレイクでのブロックやレシーブが中途半端で勝負しきれず簡単にやられてしまいました」と勝岡選手。
それでもペアの長谷川選手が「大事なのはすぐに結果を求めないこと。パスやトス、スパイクのスキルはあるので、あとはそれをどうビーチバレー用にシフトチェンジしていくか。キャリアを積んでいけば日本を代表する選手になると思います」と勝岡選手を評した。勝岡選手自身も「ビーチは2人なので6人のインドアより注目されるのが魅力かなと(笑)。やるからには日本トップになること、そしてロサンゼルス2028オリンピックも狙っていきたいです」と本格的にビーチバレーの第一歩を踏み出しました。
男子ではこの他、大学生同士の対戦となった白石澄空(愛知学院大学)/藤田丈太郎(愛知工業大学)組×今井駿世/坂東巧望(ともに国士舘大学)組の対戦も注目カードでした。このうち今井/坂東組は8月中旬に行われたアクティオ杯ビーチバレージャパンカレッジ優勝者に与えられるアクティオ・ワイルドカードでの出場で、これはビーチバレージャパンカレッジの冠協賛である株式会社アクティオ様の「大学生にいち早くトップレベルを体感し強化を図ってほしい」「大学からトップへの道筋を作りたい」という想いから導入されたものです。
試合は白石/藤田組が第1セットを、今井/坂東組が第2セットを奪い、最終セットへ突入しました。その勝負のセット、サービスエースやブロックなどで流れを掴んだのは今井/坂東組です。さらに今井選手のコースを突いたアタック、坂東選手のネット際スレスレに落とす技ありショットが決まるなどし、今井/坂東組が15‐7で勝利しました。
試合後、「挑戦する気持ちで大会に臨みに来たのですが、同じ大学生同士の対戦となったので大学王者として挑戦されているような感じでした。最後、力を出して勝ち切れたのは、1~2年生のころは大学生との練習だけでしたが3~4年生になってからプロでやっていた方のコミュニティに行って練習するようになり、そこで力をつけてきたことが自信にもつながっています」(今井選手)、「崩れてしまうときはありますが、崩れたままではなく調子を戻すことができるようになってきました」(坂東選手)と努力により地力をつけてきたことを2人は振り返りました。
「明日は準決勝に勝って決勝に進みたいです」と言う今井/坂東組、準決勝で黒川魁(NTTコムウェア株式会社)/マルキナシム(トヨタ自動車株式会社)組と対戦します。
女子で大学女王となりアクティオ・ワイルドカードで今大会に出場したのは、日本体育大学の石川とわ/松﨑伊吹組です。4年生石川選手と1年生松﨑選手のコンビで、橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)/村上礼華(株式会社ダイキアクシス)組に挑みましたが、「第1セットは自分たちの緊張がありました。第2セットは自分たちの力を出せるようになりましたが、点が取れませんでした」(石川選手)、「橋本/村上組は攻撃の種類が多く、ゲームメイクもうまかったです」(松﨑選手)と9‐21、14‐21で敗退となりました。
それでも石川選手はパンチ力あるスパイク、松﨑選手は嗅覚鋭いナイスディグやオープンスペースを狙ったカットショットと持ち味も発揮。「二人でしっかりコミュニケーションをとって共通認識をしっかり持って試合に臨もうと意識していました」と言う通り、相手を恐れすぎることなく自分たちのプレーを徹底したことは今後につながるはず。「相手のサーブはスピードと重みがありました。自分たちもそういうサーブを打てるように練習します」(石川選手)、「もっと細かい技術を詰めて、またジャパンツアーに出られるように力をつけたいです」(松﨑選手)と課題と希望を持ってコートをあとにしました。