ベテランの上場/長谷川組が栄冠獲得 「ビーチバレージャパン 第38回全日本ビーチバレーボール男子選手権大会」
8月12日~14日の3日間にわたり藤沢市鵠沼海岸で行われた全日本ビーチバレーボール男子選手権大会。推薦チームと都道府県代表チーム、合わせて56チームが日本一の座をかけて熱戦を繰り広げました。今年で38回目を迎える歴史ある大会ですが、第1回大会では現在日本バレーボール協会の会長を務める川合俊一氏が栄冠を獲得しています(ペアは熊田康則氏)。
決勝戦まで駒を進めてきたのは、千葉県代表の上場雄也(松戸レガロ)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組と推薦6の立谷純太郎(フリー)/石川瀬那(国際基督教大学)組。上場/長谷川組はそれぞれ別選手とのペアで優勝経験がありますが(上場選手は2018年に白鳥勝浩選手とのペアで優勝。長谷川選手は2012年に井上真弥選手、2016年に髙橋巧選手、2017年に西村晃一選手とのペアで優勝)、立谷/石川組にとっては初の決勝進出となりました。
序盤、まず流れを掴んだのは立谷/石川組です。立谷選手のサービスエースやラインへの的確なショットで5‐3とリードします。しかし上場/長谷川組もすぐに反撃開始。上場選手のブロック、長谷川選手のエンドラインぎりぎりを狙ったディープなどで8‐6と逆転に成功します。その後は立谷/石川組が追い付けば、上場/長谷川組が逃げるという展開となり14‐14の同点に。
そして迎えた第1セット終盤の勝負どころ。立谷/石川組が「パス、トスが乱れて苦しい展開になってしまいました。焦ったのが原因だと思います」と振り返ったのに対し、「自分たちがやるべきことに集中していました」と言う上場/長谷川組が19‐16とリードすると、その後も上場選手がサービスエースを決めるなどし、上場/長谷川組がこのセットを21‐17で先取しました。
▲上(左)が上場/長谷川組 下(右)が立谷/石川組
続く第2セット、序盤は第1セットを奪った上場/長谷川組が勢いに乗っていきます。上場選手がサウスポーから放つキレのあるスパイク、長谷川選手のサービスエースなどで7‐3と引き離しにかかります。
しかしその流れを止めたのが、「高校生のとき、この大会のコートオフィシャルスタッフをしていました。そのときにプレーしていたのが上場選手であり長谷川選手。そういった方と戦えるということで、自分の持っているものをどう出していくか。自分のベストを出して1点1点取りに行きました」と言う石川選手。相手ブロックを弾く力強いスパイク、ジャンプサーブ、モンスターブロック、ドロップ、ツーなど多彩な技を次々と繰り出し10‐10と盛り返していきます
▲大学生ながら決勝戦まで進んだ石川のスパイク
すると、その石川選手に触発されたかのように立谷選手もナイスディグからのスパイクという躍動感あるプレーを見せ、立谷/石川組が20‐18と先にセットポイントを握りました。流れは完全に立谷/石川組にありましたが、「悔いが残らないように、しっかりスイングして打ち込もうと思っていました」と言う石川選手のスパイクが2本アウトになり上場/長谷川組が22‐20で逆転勝ちしました。
試合後、「2018年に白鳥さんとのペアで勝っていますが、僕のことを最初にビーチバレーに誘ってくれたハセ(長谷川選手)とのペアでも優勝したいと思っていました。予選グループ戦からの出場だったので試合数が多くて大変でしたが、優勝できて本当によかったです」と、この大会にかける思いを語ったのは上場選手。ペアの長谷川選手は「僕が39歳で、上場さんが40歳。体力的にキツかったですが、頭とスキルでビーチバレーは勝てることを証明できました。歴史あるビーチバレージャパンは本当に強い選手が勝つべき大会だと思っているので、僕たちベテラン勢が勝てたのはとてもうれしいです。日本のビーチバレーボール界の発展のため若い選手にも頑張ってほしいですが、僕たちベテランがその壁になります」と若手の奮起を促していました。
一方、敗れた立谷/石川組ですが、「ベテラン勢はパス、トスが正確でゲームの組み立てがうまかったです。でも、僕たちももっともっと詰めていけるはず」(立谷選手)、「悔しいけれど出し切りました。決勝まで勝ち抜いてくることができたのは成長だと思います。決勝で勝てなかったのは課題であり、伸びしろでもあると考えています」(石川選手)と、今回決勝進出を果たしたこと、そして決勝ではあと一歩届かなかったことを前向きに捉えていました。
3位決定戦は推薦4の黒川魁(NTTコムウェア株式会社)/永井雄太(松戸レガロ)組×推薦7・大学代表の今井駿世/坂東巧望(ともに国士舘大学)の対戦となりましたが、今井選手が負傷をしたため今井/坂東組が棄権。黒川/永井組の不戦勝となりました。