ジャパンツアー第3戦GSグランフロント大阪大会 女子は柴/丸山組が2戦連続優勝 男子は大ベテラン倉坂/白鳥組が優勝
晴天で最高気温が28度まで上がった1日目とは打って変わり、朝から小雨が降ったり止んだりする不安定な天候で、気温も20度と少し肌寒いなかスタートした2日目。男女の準決勝各2試合のあと、女子の決勝、男子の決勝の順で試合が行われました。
女子で決勝に駒を進めてきたのは、柴麻美(株式会社帝国データバンク)/丸山紗季(地元法人マーチオークシー)組とPhoebe Bell /Caitlin Bettenay(ともにオーストラリア)組です。両ペアが今季のジャパンツアーで対戦するのは第1戦平塚大会荒井商事杯、第2戦都城大会第25回霧島酒造オープンに続き3度目。過去2戦とも柴/丸山組が勝利しています。
そして始まった女子決勝戦、両者ともにお互いの手の内を知っているだけあり、試合序盤はどちらかが主導権を握るということなく11‐11まで進みました。しかし、ここからギアを上げたのが柴/丸山組です。「第2戦都城大会では相手にマッチポイントを取られる接戦となりましたが、そのときの反省を生かしたゲームメイクをすることができました。サーブで狙う場所をしっかり決めていたこと、サーブ後のディフェンスで相手に悟られないよう動いてカバーすることなどをペアでしっかり共有できていたのがよかったと思います」と柴選手が言うように、連続加点し17‐11と一気にリードを広げると、その勢いのまま第1セットを21‐16で先取しました。
第2セット、2人とも身長183cmのBell /Bettenay組が高い打点からスパイクを打ち込み流れに乗るかと思われましたが、「イヤなかたちで相手に取られても、その後は気持ちを切り替えて次のプレーに集中することができました。海外のツアーを回って経験を重ねてきた成果が出ています」(丸山選手)とメンタル的に崩れなかった柴/丸山組。逆に「まっすぐブロックに跳ぶと読まれるので、いろいろ考えてブロックしました。何とかワンタッチできれば、後ろで柴選手が拾ってくれると信じているので」(丸山選手)と、強打を拾うことで相手にプレッシャーをかけ、さらに厳しいコースを狙わせてミスを誘うことに成功。18‐10と大きくリードすると、その差を保ったまま21‐13で優勝しました。
これで第2戦都城大会第25回霧島酒造オープンに続き2大会連続優勝を飾った柴/丸山組。バックトスをすると見せかけて正面のネット際にドロップを落とした柴選手、空中でタイミングをズラして相手レシーバーの動きと逆方向にショットを決めた丸山選手とそれぞれ魅せるプレーもあり、熱戦を見守っていた観客を楽しませていました。
その女子決勝戦に続いて行われた男子決勝戦は、倉坂正人(フリー)/白鳥勝浩(株式会社カブト)組×黒川寛輝ディラン(LIVZON)/福嶋晃介(NTTコムウェア株式会社)組というカードになりました。このうち倉坂/白鳥組は、準決勝で第2戦都城大会第25回霧島酒造オープン優勝の上場雄也(松戸レガロ)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組を破っての勝ち上がり。一方の黒川/福嶋組は、2024コンチネンタルカップ パリオリンピックアジア大陸予選 第3フェーズに出場する日本代表対決となった髙橋巧(ANAあきんど株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組との接戦を制しての決勝進出です。
第1セット、どちらも譲らず19‐19の大接戦となったところから抜け出したのは倉坂/白鳥組。サイドアウトで20‐19とすると、続くポイントで倉坂選手がブロックを決めこのセットを奪いました。第2セット、ここでは黒川/福嶋組がリズムを掴みます。13‐13まで一進一退の状況でしたが、福嶋選手のハードヒットやブロック、黒川選手のサービスエースや二段トスを打ち切る強気の攻めで連続加点し、21‐14でこのセットを取り返しました。
そして迎えた勝負の最終セット、倉坂選手のブロック、白鳥選手のブロッカーの上を越す柔らかいショットなどリズムに乗り8‐4とリードしたのは倉坂/白鳥組です。一方、第3セットは15点マッチのためこれ以上離されたくない黒川/福嶋組は、福嶋選手のブロックやサービスエースなどで猛追。9‐9と追いつくことに成功します。その後、倉坂選手のブロックポイントで常に倉坂/白鳥組が一歩先いく展開となり、14‐13からブレイクを狙った福嶋選手のスパイクがネットにかかりゲームセット。倉坂/白鳥組が初優勝を決めました。
34歳の倉坂選手にとっては昨年の第5戦青森大会以来の優勝ですが、47歳の白鳥選手にとっては2021年の第6戦松山大会以来のジャパンツアー優勝で、「まさか優勝できるとは思っていませんでした。準決勝で先週優勝している相手に、決勝で日本代表ペアに勝てたのは意味があると思っています。若い奴らは何をやっているんだ、と言いたい(笑)」と白鳥選手。オリンピックに3度出場したレジェンド白鳥選手の言葉には重みがあります。
その白鳥選手と今年1月からペアを組んでいる倉坂選手は、「白鳥選手と一緒にやるなかで、何をやるべきで何をやるべきではないかを追求し続けています。分かっているけれどできなくてもがいている部分がありますが、今日は最高の舞台でいいプレーができたのが自分でも驚きで、うれしいところです」と、課題に向き合っているなかで手に入れた結果であることを強調していました。倉坂選手もベテランの域に入っていますが、「白鳥選手は、突き詰め方、考え方、試合の運び方、全部の次元が圧倒的に違います。これまで自分もやってきたつもりでしたが、まったく及ばないレベルです。常に課題が見つかっています」と、ビーチバレー道の探求はまだまだ続きます。