日本代表

龍神NIPPON・中垣内祐一監督が5年間を総括

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19日(日)に今シーズンでの退任を発表した男子日本代表チーム・龍神NIPPONの中垣内祐一監督が、「第21回アジア男子バレーボール選手権大会」の決勝後にリモート記者会見を行いました。

中垣内監督は2017年4月の就任から東京2020オリンピックまでの一つのサイクルが終了したこと、そして東京2020オリンピック開催年の龍神NIPPONの活動が全て終了したことを踏まえて、この5年間の総括をしました。

中垣内監督はまず、日本代表監督就任時に「強化の柱」と考えた3つの点について、それぞれの狙いや成果などを説明しました。

(1)外国人コーチの招へい、選手が海外挑戦することの積極的支援

確かな経験と磨き上げられた指導論をもとにチームを束ねられるコーチに選手の指導をお願いしたいと考えた。初年度からチームに携わるブラン・フィリップコーチは日本人にフィットする指導論を持ち、チームスタイルも男子日本代表チームが目指すものとしてふさわしいと感じた。

選手は海外で常に世界のトップと対峙して技術を磨き、様々なコーチの指導を受けるべき。現在、石川(祐希選手)、関田(誠大選手)、西田(有志選手)の3人が海外に行っているように、これが当たり前のこととして続くことが重要。

(2)サーブを中心としたディフェンスからのブレイクを目指す

日本では2000年代前半からサイドアウト中心の強化が図られたが、サイドアウトだけでは成果が分かりづらく限界があると考え、サイドアウトを取る練習だけでなく、ブレイク練習もしっかり取り組んだ。相手のサーブレシーブを崩して、単調にさせた攻撃を少しでも自分たちのブロックに引っ掛ける。そしてそれをディフェンスに繋げてオフェンスを仕掛けていく。その最初の動きとなるサーブを強化していくこととした。ディフェンスは練習時間を割いたことで強化され、しつこいバレーボールができるようになった。ディフェンスをしっかりと行うことでブレイクの確率を上げていくことを考えた。

(3)一貫指導体制の確立

U19、U21、U23、シニアと色々なカテゴリーがあり、それを一貫指導して、縦のラインとして引っ張り上げた。加えて選手の所属チームにも我々の練習していること、目指していることをご理解いただき、選手に対する育成の情報を共有した。1年に6か月間しかない日本代表の強化期間を、(所属チームで過ごす6か月間と合わせて)12か月間行うべく、所属チームにもお願いをした。我々が日頃選手に求めていることを所属チームとも共有したことで、選手の早期成長にもつながった。

また技術面においては、2017年以前と2021年ネーションズリーグ、オリンピックでの日本代表チームのデータを比較した場合に、いまのチームが成長しているのか伸び悩んでいるのかを紹介するとともに、今後男子日本代表チームが取り組むべき課題として、①ハイブリッドサーブやフローターサーブのレシーブを向上させること、②相手を止める、攻撃性・アグレッシブさを持ったブロックをすること、③被シャットアウト率を下げること、④サーブレシーブが乱れた時にサイドアウトを取ることなどを提言しました。

そして「東京オリンピック7位という成績は、もっと上に行けたという思いではあるが、『一応の成績ということで、きりがいいのではないか』と考え、今回の結論とした」と、今月末を持って男子日本代表を退任することを発表しました。中垣内監督は「2017年の就任以来、期待、応援していただき、多くの方に温かい言葉をかけていただいた。辛いときもあったが、励まされ、勇気づけられてここまでやれた」と感謝の言葉を述べて会見を終えました。

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男子・中垣内監督、女子・中田久美監督の退任が決まり、パリオリンピックに向けては男女ともに新監督を迎えることとなります。記者会見に同席した嶋岡健治会長は新監督決定のスケジュールについて、「現在、監督候補者選考委員会の準備をしている。監督人事は理事会の決議事項として諮らなければならず、直近では10月中旬に予定されているので、それまでには監督候補者を決めたい。監督選考プロセスについては、まずは監督候補者選考委員会の場を持って、次期監督をどのように決めていくかを話し合っていく」と語りました。

「第21回アジア男子バレーボール選手権大会」の閉幕をもって、2021年度のバレーボール男女日本代表の活動は終了いたしました。新型コロナウイルス感染拡大により、多くの方が困難な状況にある中、今シーズンも変わらぬご支援・ご声援くださった皆さまへ御礼申し上げます。すでに3年後に控えるパリオリンピックに向けて歩み始めた龍神NIPPON、火の鳥NIPPON、そしてチームを支える選手たちに、引き続きたくさんのご声援をお願いいたします。