ビーチバレーボール

サントリーサンバーズの喜入/藤中組が登場するなど盛り上がりを見せたジャパンツアー第3戦GSグランフロント大阪大会

サントリーサンバーズの喜入/藤中組が登場するなど盛り上がりを見せたジャパンツアー第3戦GSグランフロント大阪大会

JR大阪駅と複合商業施設「グランフロント大阪」に囲まれた「うめきた広場」で行われたジャパンツアー第3戦グランフロント大阪大会。ジャパンツアーは今季から全10大会を「グランドスラム(GS)」(4大会)と「オープン」(6大会)にカテゴリー分けし、「グランドスラム」は直近4大会中の上位3大会のポイントで出場チームを決定するハイレベルな大会に位置づけしていますが、今大会はその記念すべき第1回目となりました。また注目度が高くなるグランドスラム大会では、カーボンニュートラルの観点から音響や動画配信などの一部電源をトヨタ自動車のミライ(燃料電池車)により賄っています(オープン大会では発電機を利用)。

 

大会1日目は、男女の1回戦(準々決勝)各4試合が行われました。そのうち男子で注目の対決となったのは、石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/庄司憲右(ハウスコム株式会社)組と上場雄也(松戸レガロ)/長谷川徳海(ハウスコム株式会社)組の一戦です。石島/庄司組は第1戦平塚大会荒井商事杯の優勝者で、上場/長谷川組は第2戦都城大会第25回霧島酒造オープンの優勝者。しかも両大会で直接対決し、勝った方が優勝しているのです。

 

試合は、しなやかなフォームからハードヒットとショットを的確に打ち分ける左利きの上場選手、パンチ力のあるスパイクを打ち込む長谷川選手と、メリハリの利いたオフェンスを見せた上場/長谷川組が中盤で12‐9と抜け出しました。対する石島/庄司組は、石島選手の高い打点からの打ち込みなどで15‐15と追いつくものの、ここで好プレーを見せたのが上場選手。ナイスディグからすかさず体勢を立て直してスパイクを打ち込む熱いプレーで18‐16とリードすると、20‐18のセットポイントではコブラ(立てた指の先端でボールを突く動作)で相手ブロッカーの上を越すショットを決める冷静さを見せ、上場/長谷川組が第1セットを21‐18で先取しました。

 

続く第2セット、ここでは長谷川選手がブロックを立て続けに決めたことで、上場/長谷川組が7‐3と序盤で流れをつかみます。石島/庄司組も石島選手のブロック、庄司選手のサービスエースなどで12‐13と追い上げにかかりますが、上場/長谷川組は長谷川選手のブロックと上場選手のレシーブの連係が機能。「前回の都城大会では僕がブロックで止めにいくのが狙いでしたが、今回は上場さんが拾ってくれるというので邪魔しないようにしていました」と長谷川選手が言う通りのプレーを展開し、このセットも21‐18で上場/長谷川組が取り勝利しました。試合後、「つなぎの部分でトスが近かったりパスが短かったりするので、それを詰めていけばもっといいバレーができそうです」と、さらに高みを目ざす上場/長谷川組。10年前のグランフロント大阪大会で優勝していますが、明日の準決勝以降、どんな戦いを見せてくれるのか楽しみです。

写真左(上)が上場 右(下)が長谷川

 

また男子では、Vリーグと黒鷲旗の2冠を獲得したサントリーサンバーズから、リベロの喜入祥充選手とアウトサイドヒッターの藤中謙也選手がワイルドカードで参戦しました。喜入選手は学生時代アタッカーで、藤中選手はレシーブもできることから、ビーチでの経験が豊富な倉坂正人(フリー)/白鳥勝浩(株式会社カブト)組相手にどんな展開になるのかが楽しみでしたが、「届くと思ったボールに届かなかったり、かみ合わなさがありました」(喜入選手)、「思っていたのと違いました」(藤中選手)と砂上、そして風のある環境でのプレーに大苦戦。第1セットは9‐21と差をつけられました。

 

第2セットになると「少しずつ慣れてスパイクが打てるようになってきました」(藤中選手)と得点を重ねるも、「ビーチをしっかりやっている相手とは明らかな差がありました」(喜入選手)と12‐21で敗退。それでも「必ずボールに触ってラリーに絡むのでいろんなスキルが必要なのがインドアと違っておもしろいところだと思います」(藤中選手)、「2人しかいないという面白さがあり、いい刺激になりました」(喜入選手)と、今回のビーチへの挑戦を楽しんでいました。

写真左(上)が藤中 右(下)が喜入

 

女子は第1シードの柴麻美(株式会社帝国データバンク)/丸山紗季(地元法人マーチオークシー)組、第2シードの坂本実優(株式会社キュービック・スポット)/沢目繭(ミライラボバイオサイエンス株式会社)組、第3シードのPhoebe Bell /Caitlin Bettenay(ともにオーストラリア)組、第4シードの松本恋/松本穏(ともにフリー)組が勝利。トップシードが順当勝ちする結果となりました。

 

負けはしたものの、2人とも183cmと長身のBell /Bettenay組に善戦したのが、村上めぐみ(株式会社立飛ホールディングス)/野口彩陽(湘南RIGASSOビーチバレーボールクラブ)組です。今大会限定のペアながら、「お互いのいいところを出したいと思っていました」(村上選手)と言うように、村上選手のコートカバー力、野口選手の決定力がうまくかみ合い、第1セットを21‐15で先取しました。

 

デュースまでもつれる接戦となった第2セットは、村上/野口組のマッチポイント、Bell /Bettenay組のセットポイントが行き来する手に汗握る展開となりましたが、このセットを26‐24で奪ったのはBell /Bettenay組。続く最終セットもBell /Bettenay組に取られて敗れた村上/野口組ですが、まだ22歳と若い野口選手にとっては「村上さんは、レシーブもサーブも戦略も声かけも動きも、全部がスゴイ。また、自分のことだけでなくペアのことも分かっていること、そして相手のプレースタイルや調子を細かく観察していることが、これまで組んでもらったペアと違いました」と、オリンピック出場経験のある村上選手とペアを組めたことは貴重な経験となった模様。村上選手にも「今回得たものを、自分のチームに持ち帰ってもらえれば」と後進を育てる気持ちがあったようです。

写真左(上)が村上 右が野口

1日目は試合のほかに、朝日健太郎参議院議員、川合庶ビーチバレーボール本部本部長、万博公認キャラクターのミャクミャクによる大阪万博PRトークセッションや小中学生を対象にしたビーチバレーボールクリニックが行われました。