ビーチバレーボール

「第37回ビーチバレージャパン」新王者誕生、黒川魁/福嶋晃介組。

「第37回ビーチバレージャパン」新王者誕生、黒川魁/福嶋晃介組。

全国都道府県代表チームと推薦チームが集結する日本最大規模の大会「第37回ビーチバレージャパン」が8月11日(金)、12日(土)、神奈川県藤沢市鵠沼海岸にて開催された。

当初の予定は、3日間開催を予定していたが、9日時点で台風7号上陸を予想し、競技形式を変更する短縮開催を決めた。11日の都道府県予選は1セット28点マッチ、12日の決勝トーナメントは朝9時から1セット21点マッチで行うことになった。

予報に反して晴天の鵠沼海岸

気温35℃を超える灼熱のビーチで、決勝へ進出するには4試合、決勝戦を含めると1日最大5試合を戦うことになる。準々決勝からは、30分間の小休止をとりながら試合をこなしていく。どの大会よりも最も過酷な環境である。そんなタフさとコンディション調整が求められる戦いにおいて、決勝進出を果たしたのは、第1シードの庄司憲右(ハウスコム)/池田隼平(カブト)組と、第3シードの黒川魁(NTTコムウェア)/福嶋晃介(NTTコムウェア)組だ。

黒川/福嶋組は、昨年の大会で黒川がコロナを煩い欠場。ペアとしての出場は初めてとなる。一方の庄司/池田組は、昨年もこの大会で決勝進出を果たした実績がある。準決勝では、「マイナビジャパンツアー」で無敗の髙橋巧(ANAあきんど)/石島雄介(トヨタ自動車)組に逆転で勝利を収め、満を持して決勝の舞台に挑んだ。

決勝戦は、序盤から福嶋の強烈なジャンプサーブが冴えた。庄司/池田組の攻撃体勢を崩し、黒川が落ち着いてレシーブをさばき、9-6と黒川/福嶋組は確実に得点を重ねていく。準決勝ではどんぴしゃりのタイミングでブロックを決めていた池田は、なかなか黒川/福嶋組の攻撃を仕留めることができない。

「最近、取り組んでいたブロック練習の効果がこの大会ではよく出た。準決勝までは、はまったけれど、決勝はうまく合わなかった」と庄司が振り返るように、庄司/池田組は試合の流れを引き寄せられなかった。

コミュニケーションを取り続ける黒川

主導権を握った黒川/福嶋組は、たとえレシーブが乱れても福嶋がバックトスをさばき、風下からコンビネーション攻撃を展開していく。「今大会は、1セット21点マッチ。得点を奪われても、それを引きずらないことにお互い声をかけ合って割り切ってプレーできた。大会を通して、嫌な流れになることはなかった」と黒川。

その言葉どおり、中盤の点差を守り抜いた黒川/福嶋組が、21-16と勝利を飾った。黒川、福嶋ともに初優勝。37年目の歴史に新たなチャンピオンの名が刻まれた。

短期決戦をものにした黒川/福嶋組

今年、初めて日本代表に選出された黒川と福嶋。大会直前まで日本代表のロサンゼルス合宿に参加していたが、「合宿中は別のペアリングで練習することもあったが、個々の能力が上がっている、と大会を通じて感じた。それも勝因だと思う」と福嶋は振り返った。

高校ジュニア選手権(2012年)、大学ビーチインカレ(2014年、2015年)もアンダーカテゴリーから生え抜きでプロに転向した黒川は、ビーチバレージャパンを含めすべての全日本選手権を制した唯一の覇者となった。

多くの観客に笑顔で答える黒川

「この『ビーチバレージャパン』は、高校生のときに初めて出場した大会。この大会で優勝することは夢であり、目標だった。優勝できて本当にうれしい。ファンの方々、家族、所属先や応援してくださった皆様に感謝したい」と表彰式後のインタビューで自分の気持ちを表現した。

3位決定戦の様子

3位決定戦は、髙橋/石島組が古田史郎(Dots)/黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)組が21-15と下し、表彰台に上がった。