個性派ペアや9年ぶり復活ペアが大会を盛り上げる健闘を見せる! マイナビジャパンツアー第4戦横浜赤レンガ倉庫大会2日目
朝から上空には雲一つない青空が広がり、昼過ぎには最高気温が30度となった中で行われたマイナビジャパンビーチバレーボールツアー第4戦横浜赤レンガ倉庫大会の2日目。土曜日ということもあり人気スポットである横浜赤レンガ倉庫を訪れる家族連れも多く、初めてビーチバレーボールを見る子どもたちの「がんばれ~」というかわいい声援を受けながら、選手たちは熱戦を繰り広げた。
試合は、まず男子の準々決勝2試合が行われたのだが、1試合目の庄司憲右(ハウスコム株式会社)/池田隼平(株式会社カブト)組×古田史郎(DOTs)/黒川寛輝ディラン(しながわシティビーチバレーボールクラブ)の対戦は、庄司/池田組がストレートで勝利。ショットの威力という点では古田/黒川組が勝っていたが、ミスの少なさ、砂上での駆け引きという点ではペア歴の長い庄司/池田組に一日の長があり、終始リードを保つ安定感のある戦いぶりで準決勝に駒を進めた。
庄司/池田組×古田/黒川組の対戦は、ビーチでの戦い方を熟知した庄司/池田組に軍配が上がった
続く男子準々決勝の2試合目は、伊藤遼河/佐藤亮太(テクノスジャパン)組×黒川魁/福嶋晃介(ともにNTTコムウェア株式会社)組のカードに。2023年4月~9月の強化指定選手である黒川/福嶋組に対し、昨シーズンからペアを組み始めた伊藤/佐藤組がどんな戦いを展開するかが見どころだったが、意図的にスペースを空けて誘い込むレシーブから的確にオープンスペースを狙った伊藤のショット、いろいろなタイミングで跳んで相手を惑わす佐藤のブロックなどか効き、第1セット、第2セットともに中盤では伊藤/佐藤組がリードを奪う。そうした一見トリッキーな戦い方は、「個々のポテンシャルとしてはほかのチームに劣るので、オフェンスとディフェンスの引き出しを増やし、それを試合中にその都度どのように組み合わせるかを考えています」(佐藤)という戦略・戦術によるもので、その組み立てを担う伊藤は「誰よりも試合を見ている自負があります」というほど他チームの研究を行っている。
両セットとも中盤まで接戦となった伊藤/佐藤組×黒川/福嶋組の対戦
それでも、両セットとも終盤で地力に勝る黒川/福嶋組に逆転されての敗退となったが、「相手の動きなどを見て、試合を序盤、中盤、終盤に分けて組み立てを変えています」(伊藤)、「サーブにしても球種、コースと一球ごとに考えています」(佐藤)という伊藤/佐藤組の戦いぶりはまさにビーチバレーボールの醍醐味を体現したもの。また、伊藤は会社員で土日も仕事が入ることがあり二人で練習する時間を作るのも難しいとのことだが、「そうした中でもペアを組んでいただいている佐藤さんには感謝しかないです」と、限られた時間をやりくりしてツアーに臨んでいる。さらに、ほかの選手がスポーツ系のサングラスをかけてプレーしているのに対し、伊藤は街中するアーバン系のものを愛用しているが、それには「アマチュアでも頑張っているという象徴のようなものです」という意味がある。プレースタイルだけでなく、見た目のスタイルでも独自のこだわりを見せる伊藤/佐藤組が、今後のツアーでどんな戦いを展開してくれるのかに注目だ。
プレースタイル、見た目のスタイルともに独自のこだわりをもつ伊藤/佐藤組
男子準々決勝2試合に続いて行われた女子準々決勝2試合は、山田紗也香/西堀健実(ともにトヨタ自動車株式会社)組×酒井春海(株式会社甲斐組)/樫原美陽(一つ山ホールディングス株式会社)組、浦田景子/永田唯組×橋本涼加(トヨタ自動車株式会社)/村上礼華(ダイキアクシス)組という対戦で、ともにフルセットにもつれる接戦となったが、それぞれ酒井/樫原組、橋本/村上組が勝利。
そんな中、敗れたとはいえ大健闘を見せたのが2014年以来9年ぶりにペアを組んだ浦田/永田組。浦田は第2戦平塚大会で鈴木悠佳子(株式会社日本ビオトープ)と組むなどしているが、永田は結婚、出産を経て2019年以来4年ぶりのツアー参加。「最近のツアーは都市型開催も増え、今回の横浜赤レンガ倉庫大会など素晴らしい環境でビーバレーボール大会を行っていて、ライブ配信もされています。一度は引退を決めましたが、『チャンスがあれば試合に出てみたい』という気持ちになりました」と永田。実際の試合では、攻めてはサウスポーからヒットとショットを的確に使い分けてポイントを重ね、守っては好レシーブを連発。ペアの浦田が「前日練習を含め2回しか練習できなかったのですが、唯ちゃんは基礎技術が高いので、9年ぶりとは思えないぐらいリズムが合いました」と言うほど、永田のプレーの質は高かった。
4年ぶりとは思えないプレーを見せた永田
今回、永田が復活したのは「結婚、出産されていたのでいつ復帰するかわからなかったけれどずっと唯ちゃんと組みたいと思っていて、常に声をかけてはいました」と言う浦田のラブコールも後押しになった。その浦田は「もう少し詰めていけば、もっといい試合ができるようになると思います」と手応えを感じている。しかし、今回は永田が出産前に持っていたポイントが復活したことで本戦ストレートインとなったが、今後について確定していることはない。それでも、現在、永田が在住している岩手に近い場所で開催される第5戦青森大会、そして第8戦グランフロント大阪大会への出場を狙っているとのこと。次はどんな戦いを見せてくれるのか楽しみだ。
現在国内トップレベルの橋本/村上組を追い詰めたことで改めて力があることを示した浦田/永田組
本日はこの他、男女の準決勝各2試合が行われ、決勝戦に駒を進めたのは、男子が石島雄介(トヨタ自動車株式会社)/髙橋巧(ANAあきんど株式会社)組と黒川魁/福嶋晃介組、女子が長谷川暁子(NTTコムウェア株式会社)/坂口由里香(トーヨーメタル株式会社)組と橋本涼加/村上礼華組。
明日は第1試合が10時にスタートし
・男子3位決定戦〇庄司/池田組×長谷川/倉坂組
・女子3位決定戦〇酒井/樫原組×坂本/沢目組
・男子決勝戦〇石島/髙橋組×黒川/福嶋組
・女子決勝戦〇長谷川/坂口組×橋本/村上組 という順番で試合が行われる。