PLAYERS INTERVIEW ㉑ 福嶋晃介
大学でビーチバレーを始め、全日本大学選手権を制した福嶋晃介。プロ1年目となった昨季、マイナビジャパンビーチバレーボールツアー2022(以下、マイナビジャパンツアー)第2戦大洗大会で、黒川魁とともに初優勝を飾り、好スタートを切った。昨季の結果を振り返りつつ、まだ始まったばかりのキャリアで描く今後のビジョンについて聞いた
──昨季は振り返るとどのようなシーズンでしたか?
福嶋 優勝1度と準優勝1度、3位は2度と、思い描いていたより結果を出すことができたと感じています。プロになりたてのころは練習についていくのがで精一杯だったので、「このままで勝てるのかな」と思っていました。初めはマイナビジャパンツアーに数大会出場できればいいかと考えていたのですが、第1戦立川立飛大会で上位のチームと対戦して、戦えるという手応えを感じました。そして第2戦で優勝して、そのあとも安定して結果を残すことができました。
プロ転向1年目にマイナビジャパンツアー初優勝を果たした
──大学時代にもマイナビジャパンツアーに出場していましたが、その時とは違いましたか?
福嶋 まったく違いました。2021年の第2戦平塚大会 ガラナ・アンタルチカ杯に出場したのですが、あのときはいいプレーができなかったので、マイナビジャパンツアーで通用すると思っていませんでした。2022年2月から(黒川)魁さんと一緒に練習を始めて、大会まで3ヵ月くらいの練習期間だったのですが、試合で自分に求められること、そこだけはしっかりやろうという気持ちで臨んだ結果、立川立飛大会ではブロック、スパイクが通用するようになっていました。
──なぜ昨季、結果を残すことができたのでしょうか?
福嶋 パートナーの魁さんや平野将弘コーチに、伸び伸びとプレーさせてもらえたことが一番大きいです。魁さんは意見を尊重してくれますし、「どんどんやっていこう」と後押ししてくれました。平野コーチはつきっきりで教えるのではなく、基本的に見守って、わからないことがあれば、自分から聞きにいくと教えてくれます。自分で考えてやることが好きなので、このスタイルはとても合っていました。それに練習や試合で、6人制の技術や戦い方を取り入れてくれるので、長く6人制でプレーして、転向してきたばかりの自分にとって馴染みやすく、とてもありがたかったです。また試合ごとに3人で改善点を話し、練習を考えて、次に向けて準備することができました。これはコーチと距離感が近くて、魁さんとも上下関係というよりは横並びだったので、できたことだと思います。
それに圧倒的に練習環境が整っていることも大きな要因です。パートナーがいて、コーチがいて、練習に集中できたので、所属先にもとても感謝しています。
周りの方にやりやすい環境を作ってもらいましたし、こういう環境でなければ、昨季のような結果は残せなかったかもしれないと思います。
昨季の成績の背景にはプレーしやすい環境があった
──黒川選手は「思ったことをストレートに言ってくれるタイプでやりやすい」と言っていました
福嶋 思ったことを我慢してやることは、好きではありません。それに改善点を言った方がよりチームとしてよくなるということはわかっているので、上下関係を気にせずに言っていこうと思っています。
──試合中はいつも感情を表に出すわけではなく、静かにプレーされていますが、自分ではどのような選手だと思いますか?
福嶋 あまり知られていないかもしれないですが、自分は元々熱くなるタイプです。ただ熱くなると、力んでいつものプレーができなくなることがあります。昨季のファイナルグランフロント大阪大会の準決勝(石島雄介/黒川寛輝ディラン戦)で、それがでてしまったのですが、とても悔しかったです。ですので、普段は冷静にプレーすることを心がけています。でも、ここぞ、というところで点を決めるとガッツポーズは出てしまいますね。
──冷静にプレーをすることを心がけるようになったのはプロになってからですか?
福嶋 大学時代ですね。高校のときはチームで点を決めるたびにみんなで喜ぶスタイルでしたが、大学ではアナリストと一緒に数字を見て、相手を分析してプレーすることを学んで、喜ぶところは喜ぶけど、頭を使ってバレーをするようになったことが今に生きています。
──昨年は世界大学選手権やビーチプロツアーなど国際大会も経験しました
福嶋 これまでは日本人としか対戦したことがなかったのですが、世界大学選手権でブラジルに行き、初めて海外の選手と対戦しました。そこで、高さやスピードなど大きな違いを感じて、今の自分のバレーでは通用しないと思い、帰国後すぐに色々なコンビネーションをやりたいとコーチに伝えて、コンビバレーの練習をするようになりました。国内ツアー終了後にビーチプロツアーに出場したときは、通用するところが見つかったので、よい方向に進んでいると思います。
上田翔貴とペアを組んで世界大学選手権に出場
──どんな選手になりたいですか?
福嶋 昨季はブロックを褒めてもらえましたが、身長が高いわけではないので、相手をよく観察して、駆け引きで止めることが多かったです。今季はフィジカルを強化して、ブロックを高くする、手を前に出す技術を身につけるなど、これまでよりもしつこいブロックになったと言われるように頑張ります。ネット際でのプレー、トスなど細かい技術はあると思うので、それを生かして頭を使ってプレーして、相手にとって嫌な選手になりたいと思います。
土台をもっと鍛えて、すべてのプレーを去年よりレベルアップさせて、経験を積んでいきたいですね。
ブロックだけでなく、すべてのプレーを磨いていく
──将来の目標はありますか?
福嶋 最終的にはレシーバーとしてプレーしたいと思っています。今はブロッカーをしていますが、世界を相手に戦うとなると限界があると感じています。まずはツーブロッカーから始めて、その後レシーバーになるという将来像が自分の中にあります。具体的に何年後かなどは決めていないので、もっと先の話になると思います。
あとは世界大学選手権に出場した上田翔貴や安達龍一、黒澤孝太など、同世代や下の世代の若い選手で国内のトップを取り続けられるような活躍をしたいです。みんなとそういった話をしたわけではないですが、自分たちの時代を作っていけるように頑張りたいです。
福嶋晃介(ふくしま・こうすけ)
NTTコムウェア株式会社所属
福岡県出身/1999年12月30日生まれ/23歳/身長190cm/血液型A/右利き