ビーチバレーボール

西堀/草野組、圧巻の2連覇。 「第29回ビーチバレージャパンレディース」

西堀/草野組、圧巻の2連覇。

「第29回ビーチバレージャパンレディース」

第29回全日本ビーチバレー女子選手権大会(ビーチバレージャパンレディース)は8月16日(木)から19日(日)、大阪府泉南郡岬町・せんなん里海公園で行われた。4日間にわたる大会には、全国29都府県からの代表48チームに加え、日本バレーボール協会の推薦6チーム、大学代表、高校代表が出場。計56チームにより、今年の女王の座が争われた。

初日、2日目は、都府県代表が各4チーム12組に分かれて行う予選グループ戦。3日目からは各グループ2位までの予選通過チームに、推薦を加えた32チームによる決勝トーナメントを行った。

今年は同時期にちょうど、インドネシアのパレンバンでアジア競技大会が行われており、日本代表2チームは不参加。これを優勝へのチャンスととらえ、例年以上に意気込むチームは多かった。

しかしながら大会は大きな波乱もなく順当に進み、最終日の準決勝まで勝ち抜いたのは、連覇がかかる西堀健実(トヨタ自動車)/草野歩(パソナ)組、ともに初めてのベスト4となった鈴木千代(クロス・ヘッド)/村上礼華(松山東雲女子大)組、初優勝を狙う永田唯(スポーツクラブNAS)/熊田美愛(リソースフォレスト)組、即席ながら高校時代にペアを組み日本一に輝いている溝江明香(トヨタ自動車)/藤井桜子(市進ホールディングス)組のシード上位4チームとなった。


3位に入った鈴木/村上組

準決勝第1試合は、西堀/草野組が溝江/藤井組をストレートの2-0(21-14,21-17)で下し、第2試合は永田/熊田組が鈴木/村上組に対し、2-1(19-21,21-19,15-10)と逆転勝ちを収めた。

午後から行われた3位決定戦は、鈴木/村上組と溝江/藤井組の対戦となった。
鈴木/村上組は準決勝では終盤、相手のサーブに押され「ドタバタしてしまった」(鈴木)と流れを失い試合を落とした。その反省を生かしサーブで攻めた。もともと村上のサーブは武器のひとつだが「2人とも積極的にサーブで攻めていくことはあまりしない。ミスも多かったが、それが上手くいってやりたいことができた」と鈴木は話す。

サーブで主導権を握ると持ち味の速いテンポの攻撃も決まり、攻撃力の高い溝江/藤井組に対抗した。両セットとも拮抗したゲームになったが終盤でしっかり点数を取り、2-0(25-23,23-21)と3位の座を獲得した。鈴木は「準決勝の課題を修正できて、収穫も大きかった試合だった」と言い、村上もジャパンレディースでは初めての表彰台に「勝ててよかった」と話した。


準優勝に輝いた永田/熊田組

決勝は西堀/草野組と永田/熊田組の対戦。永田/熊田組は今シーズン、海外を中心にプレーを続け実力をつけてきた。先月の「FIVBワールドツアー東京大会」でもベスト8に残り結果も出している。しかし国内のジャパンツアーでは3位が最高成績。海外での成果を出し切れておらず、シーズンも後半へ向かい、もう一段上がりたいところだった。

この大会でも「準々決勝までは2人とも調子が悪くてリズムが合わなかった」と永田は話すものの、準決勝では一転、リズムのよいプレーが戻り、熊田の強打も爆発した。その余勢を駆って決勝に入り、第1セットは常にゲームを先行、終盤まで試合をコントロールした。

しかし「相手はベテランで終盤に強いとは思っていた」(永田)と警戒していたが、草野の強烈なジャンピングサーブに押し込まれ、自らのミスからリズムを失った。先にセットポイントを取っていたものの、デュースにされ、好調さを維持していた熊田のスパイクも西堀のブロックに止められた。結局23-25と逆転され第1セットを失った。

第2セットに入っても、西堀/草野組の勢いを止められなかった。中盤、熊田が右肩を負傷すると意気消沈。何とか立て直しを計ったが、13-21でセットを落とし試合を終えた。永田は「準決勝のようにサーブでもっと攻められれば、展開は変わっていたかもしれない」と振り返った。


表彰式での入賞チームたち

連覇を達成した西堀/草野組は、草野のサーブ、西堀のブロックとチームの武器でリズムを作った理想的なゲームだった。「やりたいことが実行できた」と西堀も話すが、それだけでなく、相手のポジションをしっかり把握して打っていく強打や、終盤の勝負所で確実に点数を取るなど、経験の豊かさも垣間見えた。

今シーズンは、ジャパンツアーでも1勝しているものの、昨シーズンの成績、2人の実力から言えば、もっと勝ってもおかしくない。西堀は「周りのチームも強くなっていることは確か」と言い、草野も「ペアも2年目となって相手もいろいろな対応をしてくる。ここが踏ん張りどころだと思っている」と話す。

今シーズンは様々、今までとは異なることも試みており、それがすぐに結果に結びつくとは思っていないと言う。ひとつはあらゆるスポーツ科学的なデータを収集すること。それを練習、プレーにフィードバックさせている。「新しいことばかりで難しい面もある」と草野は話す。

前週のビーチバレージャパンに続いて2連勝。踏ん張りどころでそれらの試みが多少でも表れてきたのか。「私たちは長く競技をやってきているので、ただ頑張るだけでなく、変わった取り組みを取り入れていかないといけないと思っている」と草野は締めくくった。