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バレーボールと歯について

このホームページを読んでくださっている方の多くは、バレーボールの経験者ではないかと思われます。タイトルから、バレーボールは歯と何の関係があるの?と疑問を持たれたのではないでしょうか。バレーボールに付きものなのは、突き指や捻挫などの外傷や、肩痛、ひざ痛などの障害などで、歯にはあまり影響が無いように思われます。しかし、バレーボール競技には、口の中を悪くする危険をはらんでいるのです。

スポーツドリンクとむし歯

以前バレーボール選手に対して歯の健診を行ったところ、むし歯になったことのある歯の数は一般の方と比較すると約1.5~2倍多くありました。

その理由の一つに、歯科医院に通って歯の手入れはしているが、栄養補給のため競技中に糖分(甘い)の入ったスポーツドリンクを多量に飲んでいることが考えられます。また、過度に緊張することや、運動することによって激しく呼吸をすること。コミュニケーションを取るために大きな声を出すことで、口の中が乾いていることも考えられます。エネルギーを補充するため、糖分の入ったスポーツドリンクを多量に飲むと、それに比例して歯を溶かす酸がたくさんできてしまいます。その上、口の中が乾いていると、その酸がますます濃縮され歯を溶かす有害なものになってしまいます。

脱水症状、電解質不足の予防のためにも、スポーツドリンクは競技継続のため欠かせないもので、その摂取を止めるわけにはいきません。ですから、バレーボールに限らず、激しいスポーツをされる方は、一般の方よりむし歯になる危険性が高い環境にあるのです。

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むし歯の予防

激しいスポーツのバレーボールで、スポーツドリンクを飲まないというわけにはいきません。ではどうしたら良いでしょうか?むし歯は外傷や障害のようにバレーボールをしているからできるものではないので、予防をすればかなり発病を防ぐことができます。

前項でスポーツドリンクの影響はお分かりいただいたと思いますが、スポーツドリンクを飲む前にも試合、練習前には軽食やおやつなどを口にすることが多いのではないでしょうか。できるのならば、食べ物を口にした後には歯ブラシをかけることが重要ですが、実際にはなかなかできないのが現状だと思います。むし歯予防の考え方として糖分を採っても、むし歯菌が口の中に全く存在しなければ理論的にはむし歯は発症しないという考え方があります。ですからその日のスケジュールを確認し、事前に口の中のばい菌をきれいに落しておきましょう。そのためには、歯を磨くというよりはむし歯菌を全て取り去る正しい歯ブラシの方法を身につけることが必要です。

歯の手入れの仕方や、洗口剤の使用方法、スポーツドリンクの摂取方法など、歯科医師と相談することをお勧めします。

また、競技中はスポーツドリンクだけでなく、口の中が乾かないようにこまめに水でうがいをすることも大切なことです。

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噛み合わせ、顎の関節の異常

バレーボールと歯の関係は、むし歯だけではありません。バレーボール選手の口の中を観察すると、上下の歯が正しく合わないことや、顎の関節に症状のある方が一般の方の2倍近く見られます。

もともと、大柄の方には顎の形が少し大きく、上下の歯がきちんと噛み合わないことがありますが、噛み合わせが思わしくないと診断される状況のほとんどは歯並びに関連したものです。歯並びは矯正治療で治せますが、選手達の多くは小学校時代からバレーボールに打ち込んでいたため、矯正治療をする時間がなかったようです。

最近では大人になってから、歯の裏側から器具を付けて矯正治療ができますが、やはり、まだ時間に余裕のある中学卒業時までには歯並びを治しておくほうが効果的です。

正しい噛み合わせにすると、身体のバランス感覚が良くなります。結果として、バレーボール競技能力向上にも繋がります。

顎関節に出る障害というと、関節の形そのものの異常により起こる事がありますが、バレーボールを始めたことで発症する場合は、競技中の食いしばりや、顎への衝撃によるものが原因として考えられます。

俊敏な動きを求められるスポーツの場合は、一般的に食いしばらない方が良いとされています。バレーボールは高い俊敏性を要求される競技なので、食いしばる事は少ないと思われていましたが、ジャンプをする踏み切り時や、着地をする際、スパイクレシーブ時などで、選手によっては食いしばることがしばしばあることがわかってきました。

■プレー中による外傷(けが)

バレーボールはコンタクトスポーツ(相手の選手とぶつかる)ではありませんが、競技中に事故により歯を痛める症例は意外と多く見られます。

高校学校管理化でのスポーツ時に起こる怪我の統計によると、外傷を受けた症例1690例中、バレーボールは226件と130件のラグビーを上回り、サッカー、バスケットボールなどのコンタクトスポーツと同等の数字です。なぜこの様に多いのでしょうか?それは味方の選手との接触や、転倒時に硬い床との接触、ボールを追って用具との接触等が考えられます。

もし、外力により歯が一部分だけ欠けてしまった場合は、再利用が難しいです。しかし、歯が脱臼して全部が抜け落ちてしまった場合は「再植」と言い、その歯をもう一度歯茎に植えることが可能です。この場合は抜けた歯の新鮮さの維持が重要になりますが、そのためには歯医者に行くまでの間に、生体内と同じ濃度の生理的食塩水につけておけば歯の寿命が延びます。

生理食塩水が無い場合は、コンビニなどですぐ手に入る牛乳が代用として使用できます。牛乳の濃度は生理食塩水とほぼ同じですし、殺菌されていますので保存液としては問題がありません。

従って、歯が抜けてしまった場合は、直ちに牛乳に浸して、なるべく早く歯科医院に受診してください。

■マウスガード

外傷の予防や、競技中あるいはトレーニング中の顎への負担を軽くする目的で、マウスガードの装着が注目されています。しかし、息苦しさを感じたり、コミュニケーションの取りづらさから装着してプレーをすることは難しいようで、装着率は低いようです。

コンタクトスポーツの中にはマウスガードの装着が義務付けられていますので、これからは歯、顎の保護のためバレーボールもマウスガードを装着して行う競技になってくるかもしれません。

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まとめ

バレーボールでスパイクをしたり、レシーブをしたりすることでむし歯にはなりません。ですから、今まで作ってしまったむし歯は歯科医院に根気よく通院して治療し、その後はしっかり予防すれば健康な状態を維持できます。

歯の生えている口は、運動に必要なエネルギー、活力の入り口です。その健康は競技を続けていく上で皆さんが思っているより大切な体の一部です。きちんと管理をしてバレーボール競技を気持ち良く、かつ、最大限の運動能力を発揮できるよう大切にしましょう。

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【文責】太田 武雄(JVAメディカル委員会 地域連携部) 林 光俊(メディカル委員会 委員長)
【漫画】石川 せいぢゅん